■国は辺野古新基地断念を
任期満了に伴う第12回県議選(定数48)は5日投開票の結果、与党が現有議席を4議席上回る27議席を獲得する躍進を示し、引き続き安定多数を維持した。このことは翁長雄志知事就任1年半の県政運営を県民が高く評価したことになる。
特に翁長知事が国と対峙(たいじ)する名護市辺野古の新基地建設には48人の当選者中31人が反対しており、名護市長選、知事選、衆院選に続き、またも県民の強固な意志が示されたことになる。
政府は「辺野古が唯一の解決策」として依然強硬姿勢を崩していないが、日本が民主国家というなら政府は民意に従って即刻、辺野古新基地建設を断念すべきだ。
今回の県議選では、元米海兵隊員によるうるま市の20歳の女性遺体遺棄事件や投票日前日に起きた女性米兵の飲酒運転事故も県民の強い反発を買い、与党躍進の要因になった。政府は翁長知事が強く求めた「日米地位協定の抜本改定」も米国に要求すべきだ。
7月10日には参院選も行われるが、辺野古新基地建設断念など政府の沖縄に対する不条理な差別が改まらないならば、今回の県議選の流れが同選挙に影響を与えるのは必至だろう。
■革新陣営に明るい展望
石垣市区は自民公認、公明推薦の砂川利勝氏(52)が2期目の当選。革新系の争いは今期で勇退した高嶺善伸氏後継の新人で元市職員の次呂久成崇氏(42)=社大、社民、共産推薦=が、組織力を発揮して同じく新人の前市議、前津究氏(44)=社大八重山支部推薦=を破って初当選した。
石垣市では2010年の中山義隆市長誕生以来、保守が各種選挙で連戦連勝を続け、革新は長期低落傾向にあった。しかし前回高嶺氏が4期目で3市町合わせ初の1万票余を獲得したのに続き、今回次呂久氏が7992票の砂川氏に629票差まで肉薄したのは、来月の参院選、2年後の市長選に向け明るい展望を開くものとなった。
特に若者がスマホを駆使して当選の原動力となったのは大きく、今後の勢力挽回には次呂久、前津両陣営が早急にしこりの解消に努めることだ。
保守陣営は、前回2人の候補で1万6000票余を獲得。一本化した今回は1万3000票台を目指したが、9385票に終わったのは楽勝ムードなどがあったとはいえ一抹の懸念材料だ。
■公約の実現目指せ
当選した砂川氏は77項目、次呂久氏は82項目の公約を掲げたが、これらはすべて離島の八重山が抱える重要な政治的課題だ。あらためて公約を一つ一つチェックし、次呂久氏は新人ながら翁長県政を支える与党の立場、砂川氏は野党の立場からそれぞれ郡民との約束を実行してもらいたい。それが八重山の振興につながるというものだ。
特に貧困の要因となっている非正規雇用など所得格差の是正や貧困対策には、一般の人が知らない国や県の制度や事業があるはずだし、県議として積極的に導入を働きかけるべきだ。
他県と違って沖縄は米軍基地問題に多くのエネルギーが奪われている。女性の人権や離島振興のためにも保革を超えて基地問題は解決されるべきだ。