■基地問題の今後も左右
27日に告示された任期満了に伴う第12回県議選(定数48)は、5日の投票に向けて早くも終盤の追い込みに入った。今回の選挙は誕生後1年半の翁長県政を県民がどう評価するか。中でも辺野古新基地建設をめぐり、反対運動の先頭に立って国と闘う翁長知事を県民がどう評価するかの選挙だ。
特に今回は、前哨戦のさなかにうるま市の20歳の女性殺害事件が起こり、基地あるがゆえに繰り返される事件事故への県民の怒りがどう影響するかも注目される選挙だ。
それは一方で、「沖縄に寄り添う」との耳当たりのよい言葉と裏腹に、今回の事件でも「地位協定改定」や「大統領との面談」を求める知事の要望に応じない安倍政権と、前回選挙で米軍普天間飛行場の「県外移設」を公約しながら、辺野古問題や今回の米軍属事件でも安倍政権に同調する自民県連の県議らの対応を県民がどう評価するかという選挙でもある。
その結果、与党が引き続き過半数を維持できれば、翁長県政はこの民意を引き続き国に突きつけられるが、逆の結果になれば、今後の県政運営は「いばらの道」になる。それだけ今回の選挙は今後の翁長県政と沖縄の基地問題を大きく左右し、さらにそれは7月の参院選にも連動するだけに、翁長県政も安倍政権もテコ入れに躍起だ。
■3氏の政策が八重山の課題
保守分裂の三つどもえとなった前回と逆の構図になった石垣市区は、告示前に3氏の政策が出そろったが、そのすべてが八重山の政治的課題であり、離島振興策といえるものだ。
再選を目指す自民現職の砂川利勝氏(52)は、「八重山元気島づくり」をキャッチフレーズに八つのプロジェクトに基づく77項目、前市議で革新系新人の前津究氏(44)は、「平和で豊かな島づくり」など5本の柱に基づく42項目、同じく元市職員で革新系新人の次呂久成崇氏(42)は、「観光客150万人時代を拓く産業振興」など六つを基本理念にした82項目をそれぞれ政策として提示した。
それは3氏ならではのものや3氏が同様の政策もあるが、八重山にはそれだけ解決すべき課題があるということだ。それを今後の選挙戦でいかに浸透させ、他の候補者との違い、優位性をアピールできるかが勝敗の鍵だ。
■三者三様のアピール
本紙インタビューで砂川氏は争点として、離島振興や格差是正など八重山の振興策をどのように推進していくのか、米軍基地問題で政府と対立している翁長県政や石垣島への自衛隊配備計画にどのようなスタンスを取るのかの3点を挙げたが、県政や自衛隊に対する自民系と革新系候補のスタンスは明確であり、これらに八重山の有権者はどのような評価を下すだろうか。
特に市民間で賛否のある自衛隊配備では、一方的に2年も前倒しで配備すると報道されている防衛省の手法を許してもよいのだろうか。
前回の60%台よりさらに投票率の低下が心配されている今回の選挙だが、候補者は三者三様のアピールで終盤戦を盛り上げてもらいたい。