■石垣市は1000人弱
昨年6月に成立した公職選挙法改正で、選挙で投票できる年齢をこれまでの「20歳以上」から「18歳以上」に広げるいわゆる“18歳選挙権”が初適用される参院選まで約3カ月に迫った。これまでほとんど政治と関わりがなかった一部の高校生を含む18歳と19歳の未成年の若者が新たな有権者となり、初めて政治に参加することになる。
その数は全国で約240万人、沖縄で約3万3000人。八重山は与那国町がまだ把握しておらず、竹富町は20人弱、石垣市は約140人の高校生を含む約990人が見込まれている。
新有権者は初の投票に向けて疑問や戸惑い、期待が交錯する状況にあるが、これら若者の参入で果たして今後政治は変わるだろうか。政党や政治家はこれを機にしっかり政治への関心を高め、あらためて政治を現在の中高年偏重から若者にも広げる契機にしたい。
■中高年偏重の政治
6月19日施行され、7月の参院選で初適用される今回の参政権拡大は、安倍首相が意欲を示す憲法改正手続きの国民投票法改正に伴う措置で、1945年に「25歳以上」が現在の「20歳以上」に引き下げられて以来70年ぶりの日本政治の変革だ。
しかし海外では米国、ドイツ、中国など約8割が「18歳選挙権」であり、日本も世界水準に並ぶことになる。そこで大切なことは若者の政治意識と関心をどう高めるかということだ。
全国的にそうだが沖縄も県選管の資料によると、投票率は中高年が高く、若者は低い傾向が強い。石垣市はデータがなく不明だが、ほぼ同様だろう。
直近の2014年の衆院選をみると投票率は20代32.43%、30代38.21%、40代46.74%、50代56.82%、60代66.11%、70代70.82%であり、同年の知事選も20代47.40%、30代57.78%、40代66.41%、50代72.77%、60代77.70%、70代78.14%といった具合だ。
これは少子高齢化で中高年の有権者に占める割合が増え続けて政治への関心も高いのに対し、若者は政治への魅力が低いのに加え政治家の不祥事など政治不信から棄権が増え、投票率低下につながっているとみられている。
■若者にどうアピールするか
この結果が「シルバー政治」と一部で揶揄(やゆ)されるように今回の参院選も、低所得の高齢者に一律3万円を給付する中高年偏重の政策になりがちで、ますます若者を政治から遠ざける悪循環になっている。
新制度は一部の高校生が有権者となるため主権者教育の必要性、政治活動の届け出の義務など、課題や疑問もあるが、何よりも政治への関心を高めるため、若者向けの魅力ある政策をどうアピールできるかが政党や政治家に問われる。一方、若者も一人一人の怒りや悩みが「保育園落ちた」のブログのように政治家を動かし、政治を変える力になれることを自覚するべきだ。
そういう意味では若者の所得格差を広げる経済政策や、沖縄を軍事要塞(ようさい)化して戦争の最前線にし、子や孫たちの未来を危険にさらす安保法、辺野古新基地、自衛隊配備にはもっと怒りがあってよい。ダメな政治は若者の力で変えるべきだ。