■好調な景気持続を
卯月(うづき)4月は、新たな年度の始まりで学校や職場では新学期や人事異動などで新たな友との出会いの月でもある。各役所では年度初め式が行われたが、2016年度は何があるのだろうか。
まず県内景況は観光客の増加を背景に消費関連、観光関連、建設関連とも引き続き好調のようだ。八重山も1月に続いて2月も観光客が過去最高を記録。13年3月の新空港開港以来の好調を依然持続していることが分かった。この好景気を維持させるためにも、非正規社員の正社員への転換や賃金アップなどの待遇改善で深刻な人手不足解消と格差是正につなげたい。
4月からは、たとえば車いす利用者の入店を断るなどの差別を禁止し、逆に車いすを持ち上げてでも入店させるなどの「合理的配慮」を盛り込んだ障害者差別解消法がスタートした。障がい者期待の制度だが、しかし周知が進んでいるとはいえず、役所はもとより民間事業所などへの徹底が求められる。
■竹富町長選は無投票避けよ
県政は新年度も辺野古新基地阻止が柱になる。3市町では中山市政が2期目の折り返しを迎えた。自衛隊配備問題が正念場になるが、市長は拙速に判断するべきでない。地方自治体の長として「国防」優先でなく、足元の市民の暮らしや軍事基地のリスクを考慮した慎重な判断が求められる。
与那国町は今月から八重山で初の自衛隊が活動を開始し、町政を左右することになる。町民の反対を押し切ってまでの外間町長の自衛隊誘致は後世に良かったと評価されるのか、あるいは批判されることになるのか。
竹富町は9月に町長選がある。住民投票で示された役場を西表に移す民意をあらためて問う選挙だが、野党候補者の顔がまだ見えない。川満町長の無投票3選も取り沙汰されるが、町民に竹富町の課題や問題点を広く提示するためにも、野党側は早急に候補者を決め、無投票は絶対に避けるべきだ。
今年は6月に県議選、7月に参院選もあるが、いずれも翁長県政の今後を左右する重要な選挙だ。今の「自民一強」の政治は沖縄に対してあまりに強権的で不条理だ。引き続き県議会で過半数を確保し、参院選もまた自公の大勝となれば引き続き沖縄差別と憲法改正と軍国主義が進むことになる。
■防災事業債申請大丈夫か
3市町では共に新庁舎建設計画がスタートする。申請の遅れで防災・減災事業債が適用外になることがあってはならない。そのためにも役所職員はスピード感ある意識改革が必要だ。
16年度も国、県、市町村で数々の事業が計画されている。その中で注目は「子どもの貧困」対策事業が本格スタートすることだ。内閣府が10億円を予算化、県が30億円を積み立て、これを受けて石垣市も支援員を3人配置し、子どもの居場所づくりや無料塾開設などの対策が始まる。期待したい。
さらに県は本島住民に離島を理解させる「島たび助成」のほか竹富町、与那国町では今夏から輸送費補助するが物価高は緩和できるだろうか。
4月は「春の新聞週間」があるが、あらためて「権力の監視」というマスメディアの役割を自覚したい。