■恣意的?な第三者委構成
今月初めの本紙に石垣市の新庁舎建設位置をめぐり、中山市長は建設位置を検討する第三者機関の委員構成などで、「恣(し)意的」に「現地建て替え」を画策したなどと罵倒(ばとう)するような長文の投稿があった。
住民投票で自らの主張通り「高台移転」が決まったにもかかわらず、自分の意見を聞き入れなかった市長へのいらだちもあるのか、「中山市政は市民不在で民意と乖離(かいり)」「中山市長は狡猾(こうかつ)で危うい政治体質」などと激しく批判している。
そこで果たして中山市長は恣意的だったかどうかだ。投稿者が指摘するように、市長が第三者機関の委員に現地推進派を多用し、緊急防災・減災事業債の開示もわざと遅らせていたとするなら、それは「恣意的」でなく、「意図的」だったということだろう。
なぜなら恣意的とは「その場の思いつきで行動する」とか「好き勝手に物事を解釈する」の意味があり、意図的は「明確な目的・意思を持って行動する」の意味があるからだ。
■自衛隊配備対応も意図的
中でも防災・減災事業債は、2013年12月に成立した国土強靭化基本法に基づくもので、翌年に各市町村に通知されていた。しかし石垣市でその存在が明らかになったのは、議員が先進地視察後の15年3月議会と一般の投稿によってであり、大きく遅れた。
緊縮財政の石垣市にとって市の財政負担を大きく軽減する同事業債は極めて重要だが、その存在の公表が遅れたのはやはり意図的だったのか。
だとするなら現在、石垣市で市民を二分する大きな問題になっている自衛隊配備問題でも、中山市長の対応に疑念を持たざるを得ない。それは市長が「広く市民の意見を聞いた上で判断する」と強調しても、基本的に安倍政権と一体で、多くの国民が反対した安保法制にも、辺野古新基地や自衛隊配備にも積極的賛成の立場にあるからだ。
そこから考えると自衛隊情報の少なさ、3度のPAC3受け入れ、反対派住民に対する副市長対応、住民投票への否定的見解|など市長の一連の対応は「配備ありきの意図的」対応と疑念を持つ市民は少なくないだろう。
■市長はなぜ住民投票に難色?
▽情報はあえて防衛省に積極的に求めず▽PAC3配備も軍事専門家は、それはミサイルでなく「人工衛星」と指摘するが、自衛隊配備への地ならしで積極的に利用▽賛否の対応は、誘致派とは気脈を通じており、反対住民とは強いて会うことを避けている▽住民投票への今回の難色は、逆の結果が出た市庁舎建設の二の舞いを恐れてのこと|などというようにだ。だとするならそれは狡猾な権力の乱用だ。
すべてがベールに包まれた「秘密主義」の自衛隊配備で、戦争に巻き込まれる不安や観光への影響などを訴える市民は多いが、配備しなくて生活に困ると訴える市民は多くないだろう。
市議会自民党は数の力で反対意見を切り捨てた。反対市民も含め5万市民代表の市長は、防衛省に細かな情報開示を求め、住民投票も受け入れるなど積極的に疑念を払い、その上で堂々と市民が納得する判断をするべきだ。