■観光、好調にスタート
寒暖の差が激しかった冬から、草木が勢いよく芽吹く春3月の弥生の月を迎えた。卒業式や人事異動の発表で別れと旅立ちのシーズンだが、それはまた新たなよき出会いのシーズンでもある。さらに3月は新年度のまちづくりを方向づける予算議会や日本全国に南国の早い夏の到来を告げる海開きなどがあり、やはりせわしい。
2013年の開港以来、八重山に好景気をもたらしている「南ぬ島石垣空港」は、今月7日で開港満3年を迎える。昨年は観光客が若干落ち込み、新空港開港による勢いに陰りが心配されたが、今年1月の観光客は過去最高の6万8000人余が訪れ、それはどうやら台風による一過性だったようだ。
しかし楽観は禁物。今年も役所と業界の官民で誘客に努め、125万人の目標達成で好景気を持続したい。
11日は東日本大震災5年となる。同震災の教訓は、住民投票で市役所新庁舎の「高台移転」につながった。役所だけでなく市民の大半が住む海岸近くの低地帯の津波対策も急ぐべきだ。それは竹富町や与那国町も同様だ。
さらに福島事故の反省は全く見られず、次々原発を再稼働させる安倍政治にはやはり強い違和感を覚える。
■“戦争法”今月から効力
昨年7月、違憲反対を押し切って数の力で成立した安保関連法が今月29日施行される。これにより“戦争法”が効力を発揮し、日本はいよいよ「戦争する国」に踏み出すことになるのだ。
その第1弾として安倍首相は、南スーダンPKOの「駆け付け警護」に武器使用の権限を付与の予定だ。しかしそれは参院選を控え国民の反発で選挙に影響する恐れがあるため、選挙に不都合なことは常に先送りする安倍政権の姑息(こそく)な常とう手段で、今回も参院選後まで先送りされる見通し。
これに対し民主、共産などの野党5党は同法の「廃止法案」を共同提出。さらに今月は参院選を控えて民主と維新が合流。さらに共産も1人区の候補を取り下げるなど野党側は共闘を模索しているが、ぜひ実現し「安倍一強」政治に緊張感を持たせるべきだ。
もし“戦争法”を廃止できないままさらに参院選で自民が圧勝し憲法改正となれば、日本も欧米や中東などと同様、戦争やテロが“日常”の国になり沖縄・八重山は辺野古新基地や自衛隊配備などで常に標的になりかねない。
自衛隊配備論争では「自分の国は自分たちで守るべきだ」の勇ましい声があるが、それは自他ともに子や孫の未来を危うくするものとしか思えない。
■「障害者差別解消法」施行へ
ところで新年度の4月から公的機関も民間のバス・タクシーなどの交通機関やコンビニ、外食産業、ホテルなどの事業者も障害を理由にサービス提供を拒否するなどの差別扱いを禁止。さらに国や地方自治体には車いす利用者の移動の手助け、視聴覚障がい者への読み上げ・筆談といった「配慮」を義務化し、民間事業者にも努力義務を課す「障害者差別解消法」が施行される。
障がい者の期待は高いが、しかし施行直前の今なお周知が進まず、その影響が懸念されている。八重山は大丈夫だろうか。役所は利用の多い事業者などを優先して周知徹底を望みたい。