■好調続く八重山観光
県経済は好調が続いているが、同様に八重山経済も観光にけん引されて好調が続いている。日銀那覇支店は県経済について、今後も減速する具体的な材料が見当たらないとして今年も好景気が持続するとの見方だが、それは八重山もほぼ同様だろう。
観光は初の中国を含めたクルーズ船の増加で引き続き好調が見込める上に、建設関連も昨年からスタートした総事業費760億円の大型プロジェクトの国営土地改良事業に続き、今年は100億円の八重山病院や7億円余の登野城小の校舎改築、高齢者などの福祉避難所兼ふれあい交流施設工事などの公共事業が相次ぐからだ。
まず八重山経済をけん引する観光は、新空港開港前71万人が、2013年3月の開港後は94万人、112万人と一気に100万人を突破。3年目の昨年は目標の120万人を達成できず、前年並みもやや厳しいがそれでも11月現在で104万人と好調を持続した。
■4年目の今年が正念場
この結果ホテルや土産、飲食業、レンタカーなどの観光関連業界に加えて農水産業も子牛や石垣牛が過去最高の価格を記録するなど活況を呈した。雇用も「質」の面で問題はあるものの、大幅に改善された。このように新空港開港後八重山経済は好調だが、その一方で不安や課題も見えてきた。
特に観光は、新空港開港の勢いに昨年は若干ブレーキがかかったが、その要因がスカイマークの撤退と5個も襲来した台風の影響だけなのか、その他にも要因があるのか、しっかり分析した上で業界としての対策が必要だ。その意味では新空港開港4年目の今年は今後を占う正念場といえよう。
業界内では夏場のホテル不足対策や冬場の観光商品開発の必要性が指摘されているが、業界から要望の強いゴルフ場は必要性に駆られてアンパルの自然を壊すことがあってはならない。
台湾からのクルーズ船も昨年は、国内観光客の落ち込みを補う過去最高の84回寄港で約20万人を運んだが、今年は中国から初の34回を加えて138回に大幅増となる。それだけに南ぬ浜町で18年前半に完成予定のクルーズ船ターミナルは、もっと前倒しするなど受け入れ態勢整備は急務だ。
■正社員化で人材育成を
その観光消費額は新空港開港の13年580億円、14年653億円と増え、昨年も11月時点で600億円を維持した。しかし市内に相次いでいる大型商業施設同様その大半が郡外に流出する“ザル経済”だ。観光客1人当たりの消費額のアップと地元還元率をいかに高めるかが真の豊かさへの課題だ。
八重山病院は建設業界の人手不足と建築資材の高騰を要因に2度も入札不調があったが、同様に人手不足は観光はじめ各業界で深刻化している。雇用の安定化のために各業界や企業は正社員化で人材育成を図るべきだ。
経済の活性化で人口が5万人目前に増加し商業施設への投資も活発な石垣市だが、一方で建築単価の高騰は銀行が融資に慎重でアパートが不足するなど好景気持続の不安要素だ。各業界と行政でそれぞれの課題を整理し、今年も好調を持続できるようにしたい。