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新春インタビュー 川満栄長町長

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新春インタビューに応じる川満栄長町長=2013年12月19日、町長室

■2013年を振り返って

 2013年は町制施行65周年、斜里町との姉妹都市盟約40周年を迎え、町にとって大きな節目の年だった。先人、諸先輩方が困難の中でしっかりと今日の基礎、礎を築いてくれたことに敬意と感謝を表し、決意を新たにした。

 振り返ると一番うれしかったのは波照間空港の再開に向けて県が本気で動き出したことだ。12年度の調査結果は芳しくなく、赤字が出る結果には当初、県も消極的だった。

 仲井真弘多知事を先頭に離島に目を向けていただき、赤字が想定される中でも再開に向けて動きだすことになったことに感謝したい。新たにターミナル整備も必要になっており、新しいターミナルで波照間島の皆さんと空路再開を迎えたい。

 

■役場移転

 半世紀たってまだ実現していない重要な懸案事項であり、最大最高の難問でもある。一朝一夕で解決できるとは思っていない。今後とも着実に、焦らず、怠らずに前に進める。諦めずに少しでも進めることが実現につながる。決意と気概と情熱を持ってこの問題には取り組んでいきたい。

 住民投票については、町議会からの早期実施の要請もあり、後援会の皆さんと協議する中から方向性を見いだしていきたいと思っている。この場ではいつやるのかという明言はできないが、公約なので4年間の中で実施する。

 

■世界自然遺産登録

 国主導で国立公園の拡大も前に進んでいる。これまで森林生態系保護地域の拡充、鳥獣保護区の拡大、自然環境保全地域の設定・拡大、法的に押さえるところは法律の網をかぶせてここまできている。

 西表島を核として竹富町全体が世界自然遺産登録にマッチした地域と言われるように、景観条例・計画で町らしさ、島らしさ、地域らしさの創設をしていくことが、西表島を核とした世界自然遺産登録にふさわしい地域だと評価されることにつながると考えている。

 また、天然記念物イリオモテヤマネコの交通事故死が多発しており、町のシンボルでもあるため愛着を持って、交通事故から守る施策を講じていきたい。

 陸だけでなく、日本一のエリアを持つサンゴ礁とマングローブもある。東洋のアマゾンと呼ばれるだけの地域であり、赤土流出防止、サンゴ礁保護対策、オニヒトデ駆除などにも財源を手当てし、キレイな海岸、漂着ごみ対策も継続して進めていく。今後は下水道事業を導入して海を守る施策を講じていく必要がある。

 

■一括交付金の活用

 財源が乏しい町なので黒島の伊古桟橋修復事業や西表島のウナリザキ公園整備など、これまで遅々として財源の捻出ができなかった部分で実現した事業が多い。

 小浜、波照間、西表島の製糖施設など、町は1町多島であるが故に同じような施設をいくつも造らなければならず、一括交付金の効果は絶大だ。町ならではの活用をして多くの課題を解決し、今後とも住みやすい誇れるまちづくりをしようと思っている。

 

■2014年の展望

 産業振興に尽きる。産業の活性化、振興が図られれば雇用が生まれ、定住条件が安定する。まず、産業の活性化を図ることに全力を傾けていきたい。そうすることで住んでいる人が潤いと豊かさを実感できることになる。

 二つ目には「八重山は一つ」の合言葉の中で3市町でスクラムを組み、連携してできるところはやる。経済の中心地は石垣市であり、このつながりは表裏一体だ。そのことを念頭に基軸は町にあり、視点は町民にあることを優先しながら、山積する諸課題に立ち向かっていく。解消することで町民の負託に応えていく。

 第3次産業である入域観光客数が増加しており、その受け皿をどうするのか、大きな課題はある。自然をどう守るのか、どう生かすのか、重い課題を突きつけられており、しっかりと政策として対応しながら光り輝く町の良さ、魅力を引き出すように全力で取り組んでいきたい。


3月2日に投開票〜石垣市長選

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 石垣市長選は2月23日に告示され、3月2日に投開票される。2期目を目指す現職の中山義隆氏(46)と、前市長で国頭村立東部へき地診療所医師の大浜長照氏(66)が昨年末に出馬を表明しており、一騎打ちの公算が大きい。今後、前哨戦が活発化する。4年前と同じ顔ぶれだが、今回は立場を逆にして戦うことになる。

 予定候補者の出馬表明が年末にずれ込むのは過去に例がない。

 中山氏は2012年12月、支持団体に出馬の意志を伝えたが、一部の与党市議が反発。13年12月には市議会議長の伊良皆高信氏(53)が出馬の意志を表明したため、調整に時間を要した。

 市政奪還を目指す野党側は、笑顔かがやく石垣市民の会(会長・高嶺善伸県議)が2月から開始した人選作業が難航。最終的には大浜氏を推す声を受け、擁立を決定。大浜氏も受諾した。

 両陣営とも取り組みが遅れており、年明けから急ピッチで組織づくりを進める。

 中山氏は、自民党石垣市支部が推薦する。前回選挙から公明党も中山氏を支持、自公体制を確立している。中山氏は今回も公明に推薦を依頼する見通し。

 大浜氏は、後援会の共同代表の一人に元自民党石垣市支部長で前市議会議長の入嵩西整氏を迎え、保革を超えた市民党的な組織を目指す。

 今市長選は、大きな争点が見当たらず、中山市政4年間が問われることになりそう。両陣営とも政策づくりに入っており、近く発表する。

 一方、同時に行われる市議補欠選で、両陣営とも候補者を擁立して市長選とセットで戦う見通しだ。

 今年は9月に市町議会議員選挙、11月に県知事選も予定されている。

 

今、注目のSUP〜冬場の海洋レジャーに最適

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スタート=浜辺でボードを持ち、一斉にスタートを切った郡内初開催となる西表SUPフェスティバル2013

 【西表】大きめのサーフボードの上に立ち、オールを使ってこぐスタンドアップパドルサーフィン(通称・SUP)が郡内でも広まりつつある。2013年12月には郡内で初めてとなる西表SUPフェスティバル2013(主催・ISFプロジェクトチーム)も開かれ、海外の大会で活躍するプロ選手を含む大勢の愛好者が西表島の大自然の中、SUPを楽しんだ。

 西表島ではISFプロジェクトチームの徳岡大之代表らが8年ほど前からSUPを始めたが、一部の愛好者がカヌーの変わりにSUPでマングローブ林をこぐ姿がフェイスブックなどインターネット上で話題となり、普及してきている。

 釣りやエクササイズで始める人もおり、徳岡代表は「SUPは初心者でも楽しめる上、一年中行うことができる。冬の時期でも行うことができるSUPで観光のオフシーズンを盛り上げていきたい」と意気込みを話した。

 竹富町商工観光課の大浜知司課長も「冬場の閑散期に海洋レジャーを楽しむことができるSUPが広まっていくことで、冬場の観光資源の一つになればと期待している」と期待を寄せる。

平得愛馬同好会 愛好家が15年前に結成

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平得のカタバル馬では編み笠でりりしく装った花馬(乙女乗馬)も登場=2012年1月8日

 八重山では十数年前まで、種子取祭のカタバル馬やイベントでの競馬、農耕馬などで馬に携わる人が多く、愛好会や各地域でも馬に乗る人がいたが、近年は馬に乗る人が減り、メンバーも高齢化するなど、活動の減少や休止状態の会もあるという。

 以前は平得や大浜、白保、川平などでも競馬が盛んに行われてきたが、車社会にともなう道路の舗装などが進み、蹄鉄(ていてつ)をつけた馬が走ることが困難なアスファルトの道路が増えたことにより、レースができる場所も減ってきた。

 平得の農道(現・沖縄ヤマト運輸石垣島支店付近)や真栄里(現ANAインターコンチネンタル石垣リゾート前)などでも行われていたという。

 しかし、レースの機会が減り、会員の高齢化、馬に乗れる人も少なくなり、現在では種子取祭や観光などでしか馬と触れ合う機会がない。

 15年ほど前に結成された平得愛馬同好会では、伝統行事の種子取祭でカタバル馬を披露するほか、5月の大型連休には名蔵の海岸で馬遊びなども行っている。

 会員の新本信市さん(72)=平得在住=は「子どものころは石垣島だけでなく、周囲の離島からも30頭以上の馬が競馬に参加し、大いに盛り上がった。つながれている多くの馬の姿に興奮したのを覚えている。最近では、馬に乗れる人も減ってきているが、馬文化を絶やさないためにも若い人たちなど会員の拡充を図っていきたい」と話した。

 同会では旧石垣空港の解体後、さら地になった滑走路で空港お別れ記念としての競馬などのイベントができないかと考えている。

養殖アカジンは美味

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独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所亜熱帯研究センターで生産された養殖アカジン

 県内で捕れる魚で三大高級魚の一つと言われるハタ科のアカジン(スジアラ)。漁業者でさえ「食べるものでなく、売るもの」というほど、食する機会は少ない。庶民には高根の花。

 そんなアカジンをぜいたくに100匹使った料理の数々が昨年11月27日、南の美ら花ホテルミヤヒラの宴会場に並んだ。

 石垣市と独立行政法人水産総合研究センターが共催したスジアラ養殖技術セミナーで、同センター西海区水産研究所亜熱帯研究センター(照屋和久センター長)が提供したもの。アカジンのおいしさを知ってもらい、関係者から意見や要望を聞くのが目的。これほど大量に調理されるのは、おそらく初めてだろう。さっそく試食だ。

 

■ハタで世界一

 味をみるには、刺し身や煮付けがうってつけ。薄造りをいただく。見た目はふぐ刺しのよう。味は淡泊でうまい。氷締め直後ならぷりぷり感が増すだろう。続いて煮付け。身はしっとり、ふっくら。白身のうまみを凝縮している。アーサの粉を振りかけた皮の磯香揚げは、ゼラチンとぱりぱり感が絶妙だ。

 ほかに和風カレー、島豆腐とのハンバーグ、クリームコロッケ、すしなど11種。味にくせがないので何にでも合う。

 締めは、骨からだしをとった八重山そば。これまで食べてきたそばとはまったく違う味わい。「絶品」と大好評だ。調理を担当した同ホテル調理部和食料理長の中村伸彦さんによると、骨を網焼きにした後、ネギなど香味野菜を入れてじっくりだしをとり、かつおだしを加えて塩だけで味付けした。中村さん自身、「上質、上品なお吸い物に仕上がった」と驚くほどのうまみが出た。

 試食した人たちは「アカジンはハタ類で世界一」と絶賛した。

 

■水産物も発信

 養殖アカジンについて中村さんは「天然だと臭みが残るが、養殖ものは臭みがなく何にでも使える。淡泊な魚なので、食材として使いやすい」と話す。

 八重山漁協の与那嶺幸広市場販売課長も「脂がのって臭みもない。これだったら魚が苦手な人でもいける。塩で食べた刺し身がおいしかった。欠点がない」と満足、「アカジンの赤が少し出るといい」と要望する。

 八重山調理師会の根原哲也会長は「材料として 調理法を研究したい。農産物は石垣牛がブランド牛として先行しているが、(養殖できるようになれば)海産物ではアカジンを全国に発信できるようにしたい」と意気込む。

 

■陸上養殖へ

 アカジンの養殖に向けては、亜熱帯研究センターが種苗生産をほぼ確立。照屋センター長は「いかに成長を早くし、色鮮やかな赤にするかが課題。これもメドがつきつつあり、近い将来、出荷できるようになるだろう」と自信をのぞかせる。

 八漁協の上原亀一組合長は「経費のかかる陸上養殖では採算がとれる魚でないと難しいが、アカジンなら取り組めるのではないか」と期待している。

 石垣市は、陸上養殖に向け、同センターの技術指導を受け八島町の種苗供給施設で試験養殖に取り組んでいる。まだ事業化のメドはついていないが、平良守弘水産課長は「アカジンは陸上養殖の有望種。陸上養殖をぜひ実現させたい」と話している。

 ハタ類の養殖は、ヤイトハタで確立されており、鍋料理などの具材として本土に安定的に出荷されている。

 アカジンは、国内ではまだ知名度は低いが、沖縄ならではのインパクトのある高級魚。小型サイズでも高単価が望める。新たなブランド魚として可能性は十分。養殖アカジンが新たな水産物の目玉となる日もそう遠くはない。

嘉弥真新也、プロ3年目〜大成の予感

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嘉弥真新也投手=福岡ソフトバンクホークス提供

 「目標は2けた勝利」-。ソフトバンクホークスの嘉弥真新也(24)がプロ3年目となる今年を見据えた。2013シーズンは1軍初先発を経験し、7月のロッテ戦では初勝利。入団会見で下積み時代を思い出して涙した左腕は、戦いのステージを着実に上がってきた。年俸は一気に1800万円増の2800万円。球団側は「先発で」と期待を込める。石垣島から飛び立った若鷹が先発ローテーション入りを狙う。

 2013シーズンは40試合に登板し54回1/3を投げて3勝1敗4ホールド。防御率2・32という抜群の安定感。

 嘉弥真は「(数字は)気にせずやっていた。結果が出てよかった。いろんな経験ができた一年だった」と振り返る。球団側からは契約更改時に「勝ち試合や負け試合、ロングリリーフなどさまざまな場面でよく頑張ってくれた」とねぎらいの言葉をかけられた。

 今季、2軍でスタートを切った背番号57は5月末までに6勝。同月のミズノ月間MVPを獲得し、1軍に昇格。同月31日の広島戦に中継ぎとして今季初登板した。

 当初は試合をつくらなければという気負いから、緊張で震えたが、投球回数を重ねることで「徐々に自分の投球ができた」。ピンチを切り抜けたり、打者を抑えたりした自らの投球を客観的に振り返る「冷静さがあった」と自身の成長ぶりを語る。「ただがむしゃらに投げていた」という2012シーズンからの進化である。

 「まだ投げる体力がない」とスタミナ面では課題も残る。

 独特の変化をみせる“嘉弥真ボール”で打者を惑わし、先発でフル回転する嘉弥真の雄姿が見られるのか。期待が膨らむ。(年俸は推定)

 

【プロフィル】

 嘉弥真新也(かやま・しんや)

 石垣市白保出身。八重山農林高校、ビッグ開発ベースボールクラブ、JX-ENEOSを経て2012年ドラフト5位でソフトバンク入団。身長171㌢㍍、体重65㌔、左投げ左打ち。

新春インタビュー〜歌人・俵万智さん

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俵万智さん=2013年11月22日、石垣市内

 2013年11月に、8年ぶりの歌集となる第5歌集「オレがマリオ」(文藝春秋発行)を出版した俵万智さん。11年4月に石垣島に来てから詠(よ)んだ歌も収められている。歌、祭り、音楽、地域社会、石垣島での暮らしぶりなど話を聞いた。(島尻修記者)

 

■新しい歌集について

 足かけ9年かけて341首を収めた5冊目の歌集で、1章と2章からなり、1章は震災から現在に至るまでの作品、2章には、第4歌集「プーさんの鼻」以降から震災前までの作品です。

 

■表題の「オレがマリオ」とは

 小4になる息子が島に来てからゲーム機に触れなくなったので、理由を訊(たず)ねると「今はおれがマリオだよ!」という。島を冒険しているような彼の感覚が現在の暮らしの象徴と思って、それに決めました。

 

■島に来たわけ

 震災がきっかけです。「3・11」当時、わたしは仙台に住んでいて、息子が通う学校が休校になったので、とりあえず仙台を離れようと思い西へ向かいました。

 那覇まで来て2週間ホテル住まいをしているとき、前年に石垣島に移住した友人がいることを思い出し連絡をとり、4月1日に石垣島に来ました。

 

■石垣島の印象

 石垣島はそのときが初めてでした。自然がたっぷりある島だなぁという印象でしたね。

 毎日表情が変わる海がいつも見られることもステキだし、来てすぐに、落ち込んでいた息子が近所の子どもたちと遊ぶようになり、劇的に元気を取り戻していく姿を見て、島で子育てができればいいな、と思うようになりました。

 

■島で経験したこと

 わたしはそれまでインドア派で、座右の銘は「体力温存」。でも「モズク採り」のシーズンに島に来て、友人に誘われて海に出かけ楽しさを覚えました。子どもにつられてという面もありますが、磯遊びや釣りも初体験しました。シュノーケルの初体験からは、「シュノーケリングした日は思う人間は地球の上半分の生き物」という歌が生まれました。

 

■きいやま商店との出会い

 島に来た年の9月、近所の人に誘われ川平満慶まつりに出掛け、初めて「きいやま商店」を見てファンになりました。もともと小劇場や演劇が好きなので、彼らの演劇的なライブの楽しさにひかれたのだと思います。

 

■沖縄の心ときいやま商店

 きいやまのメンバー3人が、仏壇を継ぐために長男が帰郷すると普通に口にするとき、先祖を大切に思う沖縄の素晴らしさを感じます。100年前を身近に引き寄せる感覚は、未来のことに思いをはせることができることだし、そこがまた彼らを好きなところです。

 ちまたにラブソングが多いなか、おじや祖母のことを歌にできる身近な家族愛があるし、少年時代に使っていた地元の言葉(方言)による歌詞も面白いですね。

 

■島の祭り

 旧盆アンガマの当意即妙なやりとりは特に印象的でした。手拭いで顔を覆(おお)い隠したファーマーたちが、夜道をぞろぞろと歩き家に近づいて来る姿は幻想的でした。私が経験した祭りは縁日や屋台でしたが、島の祭りはウタキ(御嶽)でのしきたりがしっかり受け継がれているなど、本来の意味がくっきりと見えていると感じています。

 

■地域とのつながり

 豊年祭では婦人部として海藻を前の海から採って来る役目を与えられたり、司会を担当しました。それが縁で、公民館長さんの長男の結婚式で司会を頼まれ軽い気持ちで引き受けたら、出席者が300人もいる。さすがにびびりましたね。

 学校関係では放課後に、地元の方言を集めて子どもたちと一緒に方言かるたを作ったりしました。

 

■島の子どもたち

 島に来る前に暮らした東京と仙台には「自然」と「子ども同士が遊べる環境」が少なかったのですが、島には私が足りないと思っていたものが労せずにあった。

 来たころは、春休みまで。その次は夏まで住もう。すると夏が来て、また楽しくて、あっという間に時間が過ぎた感じです。

 でも、来たのは偶然ですが、住み続けているのは偶然ではないですね。

 

■今年はどんな年に

 震災を経験して、なんでもない日常が奇跡的でありがたいことだと実感しました。日常を楽しみ味わえたら十分で、子どもがこのまますくすくと大きくなってくれればと思いますね。

 

【プロフィル】

俵 万智(たわら・まち)

 1962年大阪府生まれ。歌集「サラダ記念日」(87年)で第32回現代歌人協会賞受賞。歌集に「かぜのてのひら」「チョコレート革命」「プーさんの鼻」(若山牧水賞)。小説に「トリアングル」など。2004年「愛する源氏物語」で第14回紫式部文学賞受賞。

弓道人気、じわり

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全日本弓道連盟の今村祝教士六段、今村はつ代錬士六段、篠原良昭錬士六段らを講師に招き開かれた特別講習会=2013年11月24日午前、市総合体育館武道場

 28㍍先にある直径36㌢の的に矢を放ち、命中本数を競う弓道。福岡の篠原良昭錬士六段らが禅の文化の弓道を「八重山で浸透させたい」と2013年2月に開いた弓道体験会をきっかけに、島内の弓道愛好家ら18人が同年3月、「桃弦会」(小林昌道会長)を立ち上げた。現在会員は29人。メンバーは歯科医師や市職員、放射線技師、介護職員、ホテル従業員などさまざま。八重山ではなじみの薄かった弓道が、徐々に広がりをみせている。

 同年8月から始めた小宮久典さん(56)は「毎日弓が引きたくてたまらない」と話し、悪天候で稽古が中止となると残念で仕方がないそうだ。

 自身の弓道に対する思いを「恋している感じ」と表現。まさにハートを射止められた。

 小宮さんは、無心で矢を放ち直径6㌢の「星」と呼ばれる的の中心を射止めたときのことを振り返り、「震えた」と語った。先生の指導を受け、自分の射方を自己分析して工夫することで「やればやるほど、上達する実感がある」とも。

 そして、何より弓道の持つ精神的な奥深さが「面白い」と語る。

 1924年に東北帝国大学に招かれたドイツの哲学者、オイゲン・ヘリゲルが自らの体験を記した「弓と禅」。物事の考え方の違いや禅の精神の理解に戸惑ったヘリゲルの経験を追体験している感覚があるという。

 初心者に基本動作を指導する新人教育係の梅本美知子さん(64)は会員に「ずっと弓道を続けてほしい」と期待を寄せる。

 年に2、3度来島している篠原錬士六段と梅本さんが口をそろえるのが、かつて八重高に弓道部があったように「高校生にも広めたい」ということ。雨の日でも稽古できる道場も熱望している。

 

「八重山で弓道広めたい」篠原良昭錬士六段

 

 桃弦会発足の立役者、福岡の篠原良昭錬士六段は数寄屋建築の棟梁(とうりょう)でもあり、篠原建設と篠原茶室研究所代表の肩書を持つ。

 篠原氏は茶室の仕事を得たことから、「お茶の世界を知らねば茶室は分からない」と茶道も始めている。「茶道は禅とのかかわりが深い。禅の世界では、弓道は立禅(立って行う禅)」と篠原氏。棟梁と茶道、弓道はつながっているのだ。

 そんな篠原氏と桃林寺の接点は、2010年に九州国立博物館で開催された開山無相大師650年遠諱記念特別展「京都妙心寺〜禅の至宝と九州・琉球〜」。同博物館の茶室オープンに携わっていた篠原氏は、桃林寺の仁王像(阿形、吽形金剛力士像)も出展されたこのイベントで桃林寺の存在を知る。

 30年ほど前からシュノーケリングで八重山を訪れていた篠原氏と桃林寺がここでつながった。

 以前から八重山で弓道を広めたいと考えていた篠原六段。小林住職に相談すると、「稽古で境内を使ってよい」と快諾を受けた。その後、2013年2月の体験会を経て、桃弦会が誕生した。

 【メモ】桃弦会は毎週木、土曜日に桃林寺、日曜日にサッカーパークあかんまのフットサル場奥で午後2時から稽古を行っている。


共同作業所「スオウの木」

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共同作業所スオウの木の利用者の皆さん=2013年10月25日午前(同作業所提供)

 【西表】竹富町心身障害児親の会「スオウの木の会」が2003年に開設し、12年から㈱ゆにばいしがき(津嘉山航代表取締役)が運営する西表島大原の共同作業所「スオウの木」(川尻千恵子所長)では、13人の利用者が菓子や雑貨の製造、農作業などに日々取り組んでいる。アットホームな雰囲気の中で助け合いながら活動している利用者たちの様子を紹介する。

 スオウの木の一日は朝礼から始まる。利用者の津嘉山立さん(26)が司会を務め、モットーと行動指針を全員で唱和。ラジオ体操で体をほぐした後、それぞれの持ち場で活動を始める。三月菓子を作る人、畑の作物に水やりをする人、しおり入れにスタンプを押す人などさまざまだ。

 スオウの木の人気商品は貝の飾りを付けたシェルクリップと三月菓子。シェルクリップは南ぬ島石垣空港でも販売しており、年齢を問わず女性に大人気だ。

 三月菓子は昨年9月27日に大原小、大原中、古見小の給食に提供したこともあり、島内スーパーからの注文も多いという。どちらも製造が追いつかないほどで、うれしい悲鳴を上げている。

 商品開発にも力を入れており、クバの葉のうちわや島の粘土を利用したメダル作りなどにも挑戦。貝殻やソテツの実、アダンの葉など、身近にあるものを生かした商品作りを心がけている。

 同作業所は大原小の近くということもあり、放課後には児童らが立ち寄り、宿題をしていくことも。川尻所長は「年代や障がいの有無に関係なく、地域の人が気兼ねなく立ち寄れる憩いの場所になれば」と話す。

 同作業所では、作業の手伝いをするボランティアを募集している。問い合わせは同作業所(85-5069)。

 

■体験で島の良さショップで

 スオウの木は、仲間港ターミナル内にあるショップや作業所で、特産品や西表島在住の職人が手がけた作品の販売や、体験教室など新たな取り組みを昨年から行っている。

 夏場は島内農家から提供されたドラゴンフルーツやパインアップルを販売。西表在住の作家による絵はがきやせっけん、Tシャツなどさまざまなジャンルの商品も並べられている。

 体験教室は貝細工や草編みのほか、6月ごろには芋掘り体験も計画。教室を始めるにあたり、利用者の洲鎌一郎さん(64)が制作した看板を白浜南風見線沿いに設置し、PRも行っている。

 「これまで県外商品が多かったが、島に住んでいる人の頑張りや島の魅力を知ってもらいたい」と川尻千恵子所長。

 体験教室については「障がい者と交流しながら物作りを体験することで、さまざまな偏見がなくなればと思う。観光客はもちろん、地域住民の方にも昔ながらの民具作りを通して、島の良さを感じてほしい」と話している。詳しくは同作業所(85―5069)、ショップ(090―4353―0646)。

 

食で石垣島を元気に!

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原田和幸さん

■メニューのない店経営

 石垣市大浜にあるレストラン美味食彩「花」はメニューのない店として知られる。オーナーシェフは原田和幸さん(33)。原田さんは、おまかせ料理でレストランを営業。経営の傍ら石垣島の食材を生かした新商品・新特産品づくりなどにも取り組み、これまでいくつもの新商品を開発している。

 

■意欲的な商品開発

 店は2009年4月にオープンした。以降、「月桃葉寿司」「ピパーツ餅」「生ちんすこう」「濡れちんすこう」「ハブ粉スイーツ」「お茶(黒紫米)」「紅イモ生スイーツ」などを開発している。

 2012年に行われた「ピパーツコンテスト」(INSブランド創出プロジェクト協議会主催)では、出品した「ピパーツ餅」が、「八重山地方になかった和菓子。やわらかく日持ちのしないピパーツの若葉を塩漬けにして長期保存できるようにしたのがポイント。新感覚のスイーツとして人気が出そう」と審査員から評価されグランプリに輝き、新空港開港記念で開催された八重山の産業まつりでは、グルクンや月桃葉を生かした弁当で同コンテスト銀賞となっている。

 南ぬ島石垣空港の石垣島特産品販売センターで販売されている「生ちんすこう」と「濡れちんすこう」は、「沖夢紫ロールモンブラン」(八重山南風堂)「島豚ごろごろ」(ゴーヤカンパニー)と並び空港で売れ筋商品になっており、全国各地の「空港の新勢力、お土産に買いたい注目商品」として朝日テレビに取り上げられ話題になった。

 

■料理は人を幸せにすると実感

 原田さんは1981年、和歌山県橋本市出身。小学4年生のとき、「学校給食で食事担当になり、ぼくが盛り付けた料理を友だちがすごく喜んでくれた。料理が人を幸せにすることができる」と実感、料理人になりたいと思ったという。

 その後、地元の高校から大阪にある辻学園調理技術専門学校(和食)に進み、卒業後は学校から推薦され、「料理の鉄人」(1993|99年、フジテレビ)にも度々出演した有名な料理人の大阪にある日本料理店で1年間修行。

 そして、レストラン関係者との縁で、沖縄県西表島南風見にあるリゾートホテル「ラ・ティーダ西表」に就職。7年間勤務した。「フランスで三ツ星レストランで働いた経験を持つシェフもおり、多くのことを学ぶことができた貴重な時間だった」と原田さん、ラ・ティーダでは料理長も務めた。

 2009年2月には石垣島に移住、「出会い|人と人、人と食材、食材と食材」をコンセプトにレストラン「花」をオープンした。

 店は閑静な住宅街のなかにあり、タクシーの運転手でも当初は場所が分からないほどだったが、そのうち口コミや地元新聞や情報紙などで取り上げられ評判になった。

 2、3年前からは積極的に地域行事に参加し、小中学校で教諭や児童生徒らを対象にした講話や調理実習などで講師を務めたり、また女性グループによる社会教育学習でスイーツづくり講習を指導している。

 八重山に来てから、紅イモ、ゴーヤ、青パパイア、ローズマリー、ウイキョウなどといった地元の食材を生かしたメニューづくりに取り組んでいるが、まだまだ工夫すれば魅力的な組み合わせができると考えている。 

 

■料理は一期一会

 昨年6月には志を共有できる仲間4人と、「石垣島を元気にしよう」をコンセプトに「石垣島一番計画」を掲げた。スタートしたばかりで不定期的だが、石垣島の新たな魅力の創出、観光産業の新たな提案、新しい特産品などについて意見を交換している。

 同グループのメンバーは、健康食品製造業者、菓子製造業者、ホテルスタッフ、市の商工会会員などで、原田さんは世話人を務めている。

 店内の壁には2013年の年明けにしたためた「一期一会」の書き初めが張られている。注文を受けてから、すべて原田さんが一人でつくっており、メニューが決まっていないので、毎日来てもメニューを変えることができ、「一期一会の料理との出合いを楽しんでほしい」と原田さん。

「石垣島のシェフ原田と呼ばれることが夢ですね」と語った。

今年は立山登山に挑戦 歩きニスト

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2013年夏の北海道・大雪山・旭岳への登山

 「総合型スポーツクラブ・歩きニスト」(原田耕助会長、会員70人)の会員ら約20人は、今年7月に富山県と長野県にまたがる黒部・立山(標高3015㍍)登山を予定している。

 これに向けて、山歩きに挑戦したい会員と市民を対象に2013年10月から12月まで全10回、初心者トレッキング教室を開き、『その日に』備えてきた。

 教室ではトレッキングの基本、山の装備、用具の使用法などの座学の後、前勢岳、バンナ岳、野底林道、平久保牧場などで実地体験を行い、今年も夏までに何回かトレッキング教室を開く。

 7月の山歩きは、室堂散策観光コース、弥陀ヶ原(みだがはら)散策ハイキングコース、岩登剱岳登山、立山頂上登頂の4コースに分かれており、参加者らはいずれかを選んでトレッキングおよび本格的な夏山登山に挑戦する。

 

初めての立山、今から楽しみ〜奥田渉さん(66)

 

 歩きニストの会は、会員からの希望で年に1度は県外に出て活動を行っており、13年夏には北海道・大雪山登山を行った。

 奥田渉(わたる)さん(66)は、その大雪山登山を経験し、今年立山登山に挑戦する。

 奥田さんは東京都で会社勤めをしていた40年ほど前に山登りを始め、富士山や八ヶ岳への登山経験がある。しかしその後、登山からは離れていたが60歳を過ぎてから、また山登りを楽しむようになったという。

 福岡県出身で石垣に住んで今年で11年目を迎える。歩きニストの会には12年から参加しており、石垣島マラソンにも出場するなど体力には自信があるが、夏に向けて体を鍛えている。

 「一から出直すつもりでトレッキング教室に参加した。立山は初めてだし、今から楽しみにしている」と奥田さんは語る。

 

会は2007年に結成

 

 「総合型スポーツクラブ・歩きニスト」は07年4月に始まった。石垣市教育委員会主催で行われていた市民ウオーキング教室の参加者のなかから、教室終了後に愛好者が最大40人ほど集い、ウオーキングクラブを結成。その後09年に、独立行政法人日本スポーツ振興センターによる総合型スポーツクラブ創設支援事業からの助成を受け総合型地域スポーツ、「総合型地域スポーツクラブ歩きニスト」として再出発した。

 活動は毎月の定例会で、第1日曜日にウオーキング、第2日曜日にトレッキング、ノルディックウオーキング、ママチャリサイクリングのほか、石垣市教育委員会と連携して、ジュニアトライアスロン教室など各種スポーツ教室を開いている。

 ウオーキングは歩くだけでなく、ホタル観察やサガリバナ観賞、星空観察、ヒカンザクラ観賞など季節の風物詩を取り入れながら行っているのが特徴で、石垣島以外に竹富町の各島々にも出掛けて活動している。

 

元旦には於茂登岳で「御来光」

 

 10回目の中級トレッキング教室は1月1日の早朝に行う「夜間の山の歩き方」。6年前から続いており、参加者は午前5時に於茂登岳登山口林道に集合、於茂登岳から「御来光(ごらいこう)」を拝むことになっている。

島を守って85年〜石垣市消防団

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前線で活動する石垣市消防団員

 石垣市消防団は1928(昭和3)年1月15日に私設消防組が発足したことに始まり、時代の流れとともに石垣町消防団、警防団、消防隊などと名称を変えてきた。

 消防職員や団員は同じ位置づけとされたが、本土復帰の1972(同47)年に消防組織法に基づき石垣市消防本部と石垣市消防団が設置された。

 市での消防業務がスタートして85年。「自分たちの地域は自分たちで守る」という気持ちは色あせない。市民の要望に応えるため、防災を第一に考えた消防団活動を行い、各地域での団員募集を目指す。

 地域の安心・安全を最優先に考え、人々に寄り添いながら最前線で活動する姿は、まさに島を守るエキスパートだ。

 

 

「常に市民守る」 新垣能一団長(65)

 若い団員の入団で組織の活性化を図り、団員がいない地域には早急に配置したい。地域の自主防災組織との連携も必要。常に市民の生命と財産を守り、理解を得られる消防団として活動したい。

 

「歴史と伝統」 鹿川政夫副団長(69)

 消防は長い歴史と伝統に支えられて生命・身体・財産を保全してきた。勇猛果敢な消防精神で、あらゆる災害から地域住民を日夜守る。市民とともに歩んでいきたい。

 

「空港周辺を強化」 長浜光則副団長(60)

 得意のアマチュア無線を生かした防災無線に取り組み、災害時に備えたい。新空港開港後、石垣島東部の町並みが変化している。空港周辺地域を強化し、若手を育成していく。

 

●高齢者を支援〜上地和浩第1分団長

 高齢者の支援を行いながら、地域の無災害を目指す。分団の広報に力を入れ、団員の確保を目指したい。

 

●分団が一丸で〜神谷典明第2分団長

 団員は仕事との両立で大変な部分もあるが、分団が一丸となって地域のために絆を強めて活動したい。

 

●楽しみながら活動〜平良敏治第3分団長

 団員が不足しているので若い方の入団を募集。楽しみながら団員活動ができるので、ぜひ声を掛けてほしい。

 

●目標は大会出場〜浦崎尚子第4分団長

 第4分団は女性で構成され、8人が在籍。元気と楽しさをモットーに活動。目指すはポンプ操法大会出場。

 

●体力続く限り〜大浜善洋第5分団長

 15人が在籍する大所帯。防災活動の向上に尽力したい。在籍25年目の節目なので体力が続く限り頑張りたい。

 

●原野火災防ぐ〜長嶺正治第7分団長

 農村地域の原野火災の未然防止を図り、農家の財産を守る。津波や地震に対する意識を高めていきたい。

 

●若手で活性化を〜辻輝明第8分団長

 北部の各地域に団員が配置されていないので若手の力を借りて団を活性化。集落を盛り上げていきたい。

 

●機動力で対応〜狩俣武市第9分団長

 自然災害や水難事故が多発し、団員の機動力を生かして対応。災害、事故のない消防団活動を展開したい。

 

トライ!放水訓練〜体当たりレポート

 石垣市消防団の協力で、本紙の砂川孫優記者が水をノズルで加速して放水するストレート注水にトライした。

 ホースの筒先を左手、根本の部分を右手で持ち、足はしっかりと前後に開く。筒先から勢いよく飛び出す水の圧力はなんと5㌔。水の勢いに負けてしまい、的が定まらない。「しっかりと腰を下ろせ」。長浜光則副団長のげきが飛ぶが、水の音で聞こえない。

 終了後は、息は上がるが、腕は上がらず、だ。消火活動には、訓練の積み重ねとしっかりとした技術の習得が必要だということを実感させられた。

 今回の体験はそれでも水圧を下げて行っており、現場の消防士や団員はさらに1.5倍の水圧で放水するというから驚きだ。

県の奨励品高級マンゴー その名は「てぃらら」

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西表島で栽培されている沖縄県の新しいマンゴーの奨励品種「てぃらら」

 西表島で沖縄県の新しいマンゴーの奨励品種「てぃらら」が栽培されている。昨年、初めて収穫され、7月15日の「マンゴーの日」に合わせ、南ぬ島石垣空港で試食会を実施。観光客らにアンケートを取り、国内で沖縄県だけで生産される高級マンゴーとして今後の可能性を調査した。今年は、収穫2年目として収穫量の大幅な増加が期待され、高級マンゴーとして価格設定や、販売方法を含めたブランド確立が期待される。

 てぃららは、県農業研究センターが2003年度にスタートしたトロピカルフルーツランド支援事業の一環として米国農務省からフロリダなどで生産されている18品種を導入。この中から県の環境特性に合った優良品種として「てぃらら」と「夏小紅」の2品種を選抜。10年度から導入が始まっている。

 「てぃらら」は、品種名「バレンシアプライド」。糖度が約18度、酸度が0・2度と県内の主要品種「アーウィン」(13~16度)よりも糖度が高く、酸味もあり食味が良いのが特徴。果実は、長円形で、重さは620㌘とアーウィン(400~450㌘)よりも大きい。果皮は黄色で、上部にほんのりと赤色がかかり上品な色合いだ。

 名称の「てぃらら」は、「てぃだ」(太陽)を浴びたマンゴーを食べて楽しい気持ちになってもらえるようにと命名され、県が12年6月に商標登録した。

 竹富町園芸作物等産地協議会(会長・野底忠町農林水産課長)が昨年7月に同空港で実施した試食会では、収穫されたてぃらら30㌔が試食用として観光客らに提供された。

 試食した観光客のアンケート結果では、味に関しては74%が「満足」。「やや満足」の20%を加えると94%が好印象を持った。

 アーウィンとの好みでも65%がてぃららと回答。1個当たりの価格では1500円を中心に1000~2000円が全体の91%を占め、約1割は2500円以上と回答した。

 また、贈答用としては80%が「使いたい」との意思を示し、贈答用の高級マンゴーとして期待がふくらんだ。

 県では、高級感を演出した専用の化粧箱も用意。今後の販売拡大に期待をかけている。

 同協議会の野底課長は「色、味、形も非常にいい」と期待する。

 西表では、現在、6人の農家が約80本を栽培。昨年は600㌔を収穫。今年はさらに収穫量が増える見込み。

 このうち、西表島上原の農業生産法人㈱西表島フルーツ(川満洋一代表、3人)では、てぃらら40本、夏小紅5本を栽培。昨年から収穫が始まった。

 同法人代表の川満氏は「糖度が高いのでおいしい」と味に太鼓判をおす。昨年は、営業用に20件のお客にてぃららを贈ったが、80%の人から「おいしい」「高級感がある」との高評価を受けたという。ただ、川満さんは、高級マンゴーとして売り出すためにも、アーウィンとどう差別化を図るのか、まだ、つかみきれていないという。

 また、木の上で完熟させるアーウィンとは違い、てぃららは、木で完熟させると品質が悪化するため、10日ほど前に収穫し、追熟させる。出荷面では余裕が出るものの、着色前に収穫するため収穫時期や熟度、食べごろの見極めに難しい面もある。いよいよ今年から本格的な出荷が始まる「てぃらら」。県産の高級マンゴーとしてブランド化するためにも、専用の化粧箱での出荷など高級感を演出する取り組みとともに、アーウィンを上回るその味のPRが必要だろう。

未来図はチョウの舞う島

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「首里城下にチョウを翔ばそう会」会長で、宮良出身の大城安弘さん。側には多くのオオゴマダラが集う=2013年12月14日午後、那覇市のちょうちょガーデン

 チョウをはじめとする虫たちと人とが共生できる自然豊かなまちづくりを目指す「首里城下にチョウを翔ばそう会」会長で、宮良出身の大城安弘さん(70)が長年募らせていた思いが実を結びそうだ。今年は同会で「チョウの街宣言」を行い、チョウに親しむ団体や愛好家によるサミットも計画する。大城さんが描く青写真は、本島のどこにでもチョウが舞う「バタフライアイランド」。さらにその先には、故郷の石垣島をはじめとした八重山全体にも未来図を広げていきたい考えだ。

 ■チョウの楽園は人の楽園

 「首里城下にチョウを翔ばそう会」で大城さんは2代目の会長を務めている。「チョウの楽園は人の楽園」を合言葉に、2001年の結成から今年で13年目を迎えた。

 現在は約200人の会員を抱え、チョウなどの昆虫、小動物の生育に適した環境整備に向けた食草や蜜源植物の植栽、学校への出前授業、講演会などの活動を長く続けている。

 「バタフライアイランド」は、同会が描く構想の一つ。「チョウが育つ環境は、人にとっても良い環境。観光資源にもなる。どこに行ってもチョウが飛んでいる。そんな島にしたい」と大城さんは思いをはせている。

 団体名称にある「首里城下」は、首里の町に限定したものではなく、かつての琉球王国統治下にあった琉球列島全体を指し、奄美から先島も含む。

 展望には「まずは沖縄で実現させて、石垣や西表など固有種が多くいる離島にも広げたい」と熱を込める。

■黒いオオゴマダラ

 石垣市のチョウにも指定されているオオゴマダラは、白と黒のまだら模様で知られる。昨年9月には、那覇市で羽の9割以上が黒い個体が発見され、世界初とみられる交尾を大城さんが確認した。

 県内外で話題になった黒いオオゴマダラは、大城さんの知人が発見し、大城さんが譲り受けて自宅で飼育していた。通常の個体は、ふ化から交尾まで1週間。しかし、黒い個体は3週間以上もかかったという。

 「突然変異個体で同じ仲間として認識されなかったのではないか」と分析する大城さん。現在も遺伝の法則に照らし合わせながら黒い個体の子孫を飼育し、生態を調べている。

 過去には新種のコオロギ20種以上を発見した経験もある。昆虫全般に精通しているが、オオゴマダラには「普通のチョウはせかせかしているが、オオゴマダラはゆったりとしていて眺めているだけで楽しい。ゆったりとした動きが癒やし、安らぎを与えてくれる」と特別な思いを抱く。

■今年は忙しい1年に

 昨年は、那覇市指定のチョウにオオゴマダラが内定した。大城さんも選定に尽力した一人で、これまでの活動が奏功して今年初めごろにも正式に決定される。

 さらには、那覇市のチョウ指定に伴う式典も開催して「チョウの街宣言」も行う予定だ。大城さんはこれを弾みにサミットにもつなげたい考えで、忙しい1年になりそうだ。

 構想実現には、自治体である市町村、そしてチョウの愛好家や団体の連携した取り組みが必要だと強調する大城さん。

 自治体に関しては、石垣市、竹富町を含む7市町村がそれぞれ独自のチョウをシンボルとして既に指定している。チョウに親しむ団体も同会を含めて県内各地にあり、地盤は固まりつつある。

 これに加え、沖縄県の顔である那覇市がチョウを指定する意義は大きく、構想実現の起爆剤にもなりそうだ。

■チョウに携わる毎日

 大城さんは、宮良小、大浜中、八重農を経て、琉球大学と鹿児島大学大学院で昆虫について学びながら農学博士に。その後は、沖縄総合事務局に勤めながら、沖縄女子短期大学で昆虫学を教えた。

 現在は、那覇市に住みながら同会会長だけでなく、専門学校で昆虫学や自然科学の講師も務める。

 さらには、那覇市が地元のシルバー人材センターに管理を委託している「ちょうちょガーデン」管理人の一人として、チョウに携わる毎日を送っている。

「国営土地改良事業石垣島地区」本年度から事業スタート

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国営石垣島地区事業概要イメージ図

 石垣島全域を対象とした「国営土地改良事業石垣島地区」が2014年度から始まる。市などが行う関連事業を加えると約760億円の超大型の農業基盤整備事業。施設を改修するほか、北西部地区など土地改良事業が導入されていなかった地域で新たに施設を整備。五つのダムを連結し、島内全域に農業用水が行き渡るようにする。事業は14年度から12年間を予定。内閣府沖縄総合事務局土地改良総合事務所石垣支所の當銘俊明支所長は「効率的な農業を展開できるようになり、フライト農業にもつながる」と事業の意義を強調する。

 

■農家負担の軽減

 今回の国営事業は農家負担が軽減されることが特徴だ。かんがい配水の整備では農家負担は従来の5%からゼロに。区画整理は農家負担は10%から2~4%に減る。いずれも市が負担する。区画整理事業はかんがい施設と併せて行う必要があったが、農地の現況に応じて選択できるようになっている。

 ポンプを運転する際の電気代、施設の保守点検・補修など維持管理に充てる農家負担の賦課金も、不公平感を解消する。施設使用の有無に関わらず農地面積に応じて一律に設定されていたが、メーター制を導入。基本使用料に使った分を加えて支払うという仕組みをとる。

 

■メガソーラー

 省エネ対策も特徴の一つ。底原ダム南側突端1・3㌔の平地に太陽光パネルを整備する。発電能力は2000㌔㍗。14年度の着工、15年度の完成を目指す。石垣島初のメガソーラーがお目見えする。これにより、ポンプなどに使う全電力の4割をまかなえるという。

 

■農家の期待感

 新川奈良佐で40年間、サトウキビ作りを行っている専業農家、池原吉剋さん(62)は「水なし農業から脱却するために造った施設が老朽化しており、このままだと後何年もつか分からない。国営事業じゃないと維持できない。国営事業はかんがい配水については行政が負担し、面整備(区画整理)でも農家負担は2~4%。こんないいことはない。早急に整備してもらいたい」と歓迎する。

 星野地区で、葉タバコを生産する農業歴10年の砂川拓也さん(33)は「私たちのところは、土地改良事業もなくかんがい配水事業もなかったので、開拓者に敬意を表しながら開拓地を大事に使ってきた。ただ、干ばつで離農するなど営農の難しさがあった。今回、かんがい配水事業が導入されるので、大きな躍進につながると思う。作物は現在、サトウキビが多いが、葉野菜など他の分野にも取り組んでいけるのではないか。地域の将来像をどう描くか、地域一丸となって考えていきたい」と期待する。

 

■魅力ある農業で後継者を

 一方、石垣島最北の地、平野公民館の平良辰男館長(61)は現在、農業を離れている。「平野まで整備されるにはあと10年はかかるだろう。環境が整備されることはいいことだが、農家が高齢化しており、後継者不足。かんがい配水は負担ゼロといっても利用料が発生するので厳しくなるだろうという声もある」と不安を口にし、若者が就業したいと思えるような魅力ある農業の必要性を強調する。

 さらに「今のままだと、平久保小学校が廃校になるおそれがある。北部にリゾート施設の整備など活性化策を」とまちづくりに注文をつけた。


ただ今、放浪中〜国の特別天然記念物「イリオモテヤマネコ」

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衰弱から回復し、野生に戻されるイリオモテヤマネコ=提供・同センター、2013年5月17日

 国の特別天然記念物に指定され、大自然が残る西表島の象徴ともなっているイリオモテヤマネコ。2013年4月には西表野生生物保護センター(福田真自然保護官)が船浮地区で衰弱していたオスの成獣を保護。約1カ月間、治療を行い、回復後の5月に保護現場付近の林野に放獣した。ヤマネコを保護したのは過去10年間で5例あるが、野生復帰は5年ぶり3回目で同センターでは放獣したヤマネコの追跡調査を行っている。

 このヤマネコは4月11日に船浮集落内で発見、保護された。感染症による重度の皮膚疾患で保護から36日間、治療を続け、保護当時の体重2・6㌔から3・6㌔に回復。37日後の5月17日に野生復帰した。

■放獣後に追跡調査

 ヤマネコの首には電波発信機が設置されたオレンジ色の首輪がまかれ、同センターでは追跡調査を実施。ヤマネコが5月27日に放獣から10日間ほどかけて船浮地区から5㌔以上南下した鹿川地区にいるのを確認した。

 同センターでは6月1日、13日にも海上からラジオメトリー追跡調査で鹿川湾に面した山すそから電波を受信。18日には陸路、「クイラ越え」と呼ばれる峠道から鹿川方面に向かう方向で電波を受信。約2カ月ほどは鹿川湾付近の狭い範囲に滞在していたことを確認した。

 9月10日以降は確認できていないが、福田自然保護官は「まだ同じ場所に留まっている可能性もあると思うが、ヤマネコが山間部などに入っていると電波を受信できないため、今後も継続的に調査していきたい」と話し、オレンジ色の首輪を巻いたヤマネコの目撃情報提供を呼びかけている。

■事故防止を

 2013年に5年ぶり3回目の野生復帰に成功したイリオモテヤマネコだが、同年は6頭のヤマネコが輪禍に遭い、1頭は逃走したため生死不明となっているが、5頭が死ぬ過去最悪のペースとなり、関係機関では事故防止の徹底を呼びかけている。

 事故が相次いだことで10月25日には西表野生生物保護センターと竹富町が「非常事態宣言」を発表。事故防止を徹底した結果、交通事故が最も多いとされる11月中の事故は発生しなかった。

 同センターでは町や林野庁、県や関係機関11団体で「イリオモテヤマネコの交通事故発生防止に関する連絡会議」を発足。連携強化と情報共有を図り、県道の見通しを確保するために草刈りやロゴマークを使用した普及啓発活動などヤマネコの事故防止に向けた活動を展開していく。

精力的に名刺交換

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 ▽…初春の交歓会の会場となったホテル日航八重山では、市長選に立候補を予定している現職の中山義隆氏と前職の大浜長照氏が顔をそろえた。各界各層の人たちが一同にそろうとあってPRにはうってつけ。呉越同舟であいさつ回り、精力的に名刺交換をしていた。

 

 ▽…南ぬ島石垣空港開港後、初めての年末年始となった。新空港で人の流れを見ていると、搭乗者や見送りに来た人々の動きがこれまでとは大きく異なり、展望デッキを訪れて景観を楽しみながら見送る人も多い。搭乗者はチェックインを済ませると、空港内で食事する人やお土産品を選ぶ人の姿も多くなっており、開港に伴う変化はさまざま。

 

 ▽…今年の正月は最高気温が20度を超え、温暖な三が日となった。一部で雲がかかったものの、郡内各地で初日の出を見ることができた。2日には最高気温が24・3度と汗ばむ陽気に、市内では半袖・短パンで歩く市民や観光客の姿が見られ、「あまり正月という雰囲気を感じなかった」との声もあった。芸能人が正月にハワイへ行くように、石垣島で正月を過ごす観光客が増えることを期待したい。

門前のごみなら即、家主に注意指導もできる…

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 門前のごみなら即、家主に注意指導もできるが人里離れた場所に置かれた場合は、よほどの手掛かりを見つけない限り、ごみ主を探し出すのは容易でない▼知人が師走の繁忙期に、捨てた覚えのない扇風機投棄騒動に巻き込まれ、扇風機だけでなくその他のごみまで引き取らされたと苦笑していた▼平素から多いごみ投棄に業を煮やした地主が、扇風機の段ボール箱に貼られたままになっていた配達宛先に知人の名前と社名を見つけ、怒鳴り込んできたもの▼よくよく話を聞いてみたら、その扇風機は、知人の会社が主催している親睦ゴルフ大会の副賞にと取引先が提供した中の一台だという。事情を得々説明したが怒り心頭の地主には、通じず、結局、知人がぬれぎぬを着せられたまま回収する羽目に。しかも扇風機だけでなく、周りのごみも引き取らされ、散々な目にあったとこぼしていた▼賞品提供社の宣伝になるからと宛名ラベルを残したのがあだに。かといって、いちいちラベルを剥がしていては段ボールが傷み格好も悪い。次回からは、何か対策を考えなくてはと話していた▼ゴルフは紳士のスポーツというが、この分では扇風機を捨てたゴルファーの紳士ぶりは疑われても仕方がない。ゴルフ場を造っても、そんなゴルファーが交わるのでは先が思いやられる。(仲間清隆)

元旦にヤマネコが輪禍 今年も事故の多発を懸念

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 【西表】1日午後8時30分ごろ、西表島高那付近の県道で交通事故死したイリオモテヤマネコが発見された。環境省西表野生生物保護センターの職員が確認し、2日発表した。

 輪禍に遭ったヤマネコは成獣のメスで体重3428㌘、体長560㍉㍍。西表島西部から大原に向かう車線の路上に横たわっていた。発見した通行者から通報を受け、同センター職員が駆けつけた際には体温が残っていた状況から事故直後だったと推定されている。

 同センターによると、ヤマネコの交通事故は記録が残っている1978年以降、63件目で、そのうち61頭が死んでいる。

 昨年は過去最悪の6件の交通事故が発生、1頭は逃走して生死不明だが5頭が死んでおり、同センターでは昨年に続く事故の多発を懸念している。

 冬季は繁殖期でヤマネコの活動が活発になり、事故が起こりやすい季節のため、同センターでは西表島で車を運転する際、法定速度を守ってスピードを控えるとともに野生生物の飛び出しに注意を呼びかけている。

多幸願い初の「頭興し」 いしゃなぎら旗頭部会

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初めてとなる旗頭の「頭興し」を行ったいしゃなぎら旗頭部会の会員ら=2日午前、宮鳥御嶽

 いしゃなぎら旗頭部会(内原英政旗頭総責任者)は2日午前、宮鳥御嶽で字民の健康を祈願し、初めてとなる「頭興し」を行った。

 内原総責任者が「いしゃなぎらの頭持ちは、粋な気風と地域貢献の心構えで諸活動に取り組んできた。先人が築いた旗頭を継承し、字の隆盛と字民のご多幸を祈り、新春の頭興しを行う」と宣言。

 邑むつ会の石垣英邦会長は「新たな伝統ができた。昔、農家は1月2日にくわ入れをした。この日に初興しは字の象徴となる。字民の無病息災を願う」、てぃーづな会の宮良長明会長は「2旗の頭を立てることは感無量だ。字民が健やかに過ごすことを祈願する」とあいさつした。

 石垣字会の池城孝副会長が「年頭に頭を立て、字民の健康と農作物の豊作を、この宮鳥(御嶽)から発信する意義深い取り組みだ」と激励した。

 その後、2旗の頭が境内で披露された。

 邑むつ会の玉代㔟秀孝初代会長が「一年の計は元旦にあり、今年は結願祭も予定されている。初興しを契機に、字のために健康で活動していこう」と呼びかけた。

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