飲酒する男性の10人のうち1、2人に依存症の疑いがあり、10人のうち4、5人が依存症につながりかねない危険な飲み方をしている−。県八重山保健所が飲酒と健康に関するアンケートを初めて行ったところ、飲酒する男性の15.9%が依存症の疑いあり、46.0%が「危険な飲酒」をしていることが分かった。女性では、こうした「問題飲酒」をしている割合が20代で39.6%に上った。保健所では「適正飲酒や酒害に関する普及啓発、問題飲酒の早期発見と早期介入が必要だ」としている。
沖縄県のアルコール性肝疾患による死亡率は、2011年度のデータで男性が10万人に対して12.6人と全国平均(6.6人)の約2倍。女性も全国平均の0.8人から1.1人と上回っている。
このため、県は「健康おきなわ21」の重点項目の一つにアルコール対策を盛り込んでいる。
調査は昨年6月から9月にかけ、県警安全運転学校八重山分校で運転免許証を更新する20~60代の男女を対象に実施。問題飲酒を早期に発見する目的で世界保健機関(WHO)が作成したアンケート用紙「オーディト」1829枚を回収、このうち質問項目すべてに回答のあった1460枚をデータにまとめた。
アンケートの結果、男性は84.2%が酒を飲むと回答。1回で飲む酒の量は適正と言われる2ドリンク(20㌘=ビール500㍉㍑、泡盛0.5合、缶酎ハイ350㍉㍑、ワイングラス2杯に相当)が23.7%で、残り76.3%が適正飲酒量を超えた。
6ドリンク以上を飲む頻度、飲み始めると止められなかった頻度、飲酒のため前夜のことを思い出せなかった頻度など10項目を点数化したところ、依存症と疑われる割合が15.9%、依存症の予備軍と言える危険飲酒をしている割合が46.0%だった。
一方、女性は52.8%が飲むと回答。このうち適正飲酒を超えていたのは49.4%と半数。依存症の疑いが3.0%、危険な飲酒が20.2%となり、20代がそれぞれ4.7%、34.9%と高くなった。
女性は男性に比べて依存症や肝疾患につながりやすい上、妊娠や出産への影響も懸念されることから、保健所では母子保健指導と連携した取り組みの必要性を指摘する。
保健所の担当者は「詳細な分析をしてどの年代にどのようなアプローチができるか検討していきたい」としている。
県内では各保健所でも同様のアンケートを実施したか実施中。今後、他地区と比較しながら、地域特性があるかどうかもみていくことにしている。