適切な管理が行われていない空き家が、石垣市内に推定で202件あることが、市の空き家等実態調査で分かった。このうち倒壊、飛散のおそれがあると推定される空き家は34件と16・8%を占めた。これに現況のままでの利用が困難・不可能な空き家を加えると175件と86・6%にのぼる。市は、空き家の発生の予防から、倒壊の恐れのある「特定空き家」への措置まで、段階に応じた方針と施策を計画案にまとめ、今月3日からパブリックコメント(市民意見募集)を実施している。
2015年5月完全施行の空き家等対策の推進に関する特別措置法は、国・県・市町村・所有者などの責務を定めており、市はこれを踏まえ、空き家に関する施策を総合的・計画的に推進するため計画案をつくった。期間は本年度から5カ年を予定する。
昨年10日からことし2月にかけ、現地調査と所有者の意向調査を実施したところ、202件の推定空き家が確認された。
A~Dまで4段階に分類した結果、不良度C(倒壊のおそれはないが、現況のままの利用は困難)が141件、不良度D(倒壊の可能性があるなど現況のままの利用は不可能)が34件だった。
地区別では、C、Dとも登野城で20%を超えるなど、市街地で比較的多く見られた。
所有者らの意向調査によると、空き家になった理由として「所有者の死亡」「転居」「相続で取得し、住む人がいない」の回答が多かった。
市街地にある状態の悪い空き家については「そのまま放置しておくと、さらに腐朽、破損が進み、いずれ倒壊のおそれがあるなど、周辺への影響が大きいため、適切な対応方針を検討する必要がある」としている。
計画案は空き家の状態に応じて▽空き家の発生の予防▽流通促進・活用支援▽適正管理の推進▽除却・跡地利用の促進▽特定空き家への措置—との基本方針を示し、それぞれ施策を盛り込んでいる。
市の基準に沿って特定空き家と判断された場合、法に基づき、所有者の事情の把握、立ち入り調査、措置(助言・指導、勧告、命令、代執行)を行うことができる。
市空家等対策計画(案)のパブリックコメントは10月3日まで。
【特定空家等】空き家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、▽そのまま放置すれば倒壊など保安上危険となるおそれのある状態▽衛生上有害となるおそれのある状態▽景観を損なっている状態▽周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態—にあると認められる空き家。