国の天然記念物に指定されている平久保のヤエヤマシタンの樹勢が衰えた原因調査と対策を検討する保護増殖事業(石垣市教育委員会主催)で、固有の害虫シタンヒメヨコバイを駆除する薬剤散布が9日から2日間、現地で行われている。
ヤエヤマシタンのみに寄生するといわれるシタンヒメヨコバイは、葉から葉緑素を吸い取って樹勢を衰退させる害虫。市教委文化財課によると、6月下旬ごろに指定木2本の周辺で同虫の成虫が飛んでいるのを確認。初日の9日は指定木2本や周辺の幼木の葉が白くなり、落葉している様子が見られ、指定木周辺の実生株に薬剤を散布した。
10日は指定木に同様の作業を行うが、樹高が高いため、散布ノズルを5~6㍍の竹棹にくくりつけ、はしごに登って、上部の葉全面に薬剤が行き渡るようにする。
1回目の薬剤で死滅しなかった個体を逃さず、抵抗力をつけさせないために8月下旬にも薬剤を変えて2回目の散布を行う予定だ。
業務を受託している㈱トロピカル・グリーン設計の樹木医、樋口純一郎さんは「ヤエヤマシタンにとっては非常にダメージを受ける発生状況。元気になっていくための土壌改良も、落葉することによって台無しになってしまう。薬剤散布で少しでも衰退を防ぎたい」と話している。