石垣島から天然記念物のカメとトカゲを持ち出し飼育したとして、警視庁と沖縄県警の合同捜査本部は8日、文化財保護法違反容疑で飲食店従業員の男(23)=埼玉県北本市=を書類送検した。容疑を認め、「ばれなければよいと思った」などと話しているという。
送検容疑は今年1月と6月、無許可で石垣島から持ち出した天然記念物のキシノウエトカゲ1匹とヤエヤマセマルハコガメ4匹を自宅で飼育した疑い。2種は環境省レッドリストで絶滅危惧種に指定されている。警視庁生活環境課によると、2種をめぐる摘発は全国初とみられる。
男は幼い頃から、爬虫(はちゅう)類や昆虫好きで、自宅に約30種1000匹を飼育。昨年1月から捕獲のため石垣島に通い始めたという。捕獲した生物をインターネットオークションで販売し、100万円ほどの利益を得ていた。
■「警察の協力得て防止策を構築」
市教委の下地文化財課長
石垣市教育委員会文化財課によると、文化財保護法違反に関して把握しているのは、県天然記念物のアサヒナキマダラセセリを採取した県外男性が県文化財保護条例違反で2008年に検挙された1件と、10年に県外男性が同条例違反容疑で任意で事情聴取された1件の計2件のみ。
同課の下地傑課長は「島の財産を守るためにこれまでの活動を継続しながら、密売に対しては警察の協力も得て、防止策を構築していきたい」と話している。
■持ち出せないよう対策の強化が必要
渡辺賢一・元市自然環境保全審議会委員
持ち出しは日常茶飯事でこれも氷山の一角だと思う。この島から貴重な固有種を持ち出す、ましてやお金に換えることはもってのほか。大きな問題。捕らせないパトロールも必要だが、空港や郵便局、宅配業者などで持ち出せないようにする対策の強化も必要。