■地震時の悲痛な圧死
大阪北部地震で小学校のプールのブロック塀が40㍍にわたり道路側に倒れ、あいさつ当番のためいつもより10分早く家を出た少女が下敷きになって死亡した。また登校する児童の見守り活動に向かう年配の男性がやはり塀の倒壊により命を落とした。当番を務めようといつもより早く学校に近づいたけなげさと通学する児童を見守る善意が結果的に死に至らしめたのだから何とも痛ましいし、あまりの理不尽さに言葉を失った人も多いだろう。倒壊したのが学校のブロック塀であり、通学路のそれであったのも不条理かつ無慈悲だ。だから全国に衝撃が走った。
衝撃の大きさを受けて全国一斉学校施設ブロック塀調査が行われた。県教育庁の調査によると八重山地区学校施設では「建築基準法に適合しないブロック塀の割合が総延長の40・6%にのぼった」とある。安全確保に万全を期すべき学校にあって高い割合だ。
■通学路はどうだろうか
街中を歩くと高いブロック塀の一角で圧迫感を受けることがある。登下校時にそこらを通る児童等はなおさらだろう。そこに歩道がなければ車を避けるため勢い塀際に寄らざるを得ない。
既存のブロック塀の上に裸のブロックを二段重ね置いた剣呑(けんのん)なたたずまいがあった。向こうの庭先がのぞけるくらいにひび割れが開いた塀もある。
通学路の脇に外壁がいつ崩落してもおかしくない使用済然の倉庫もある。出入りは容易なので子どもたちが中に入ると危険だ。放置されたものに子どもは興味を示すことがあるのだ。取り壊すか、そうでなければ管理された状態に保つのが大人の責務だろう。
昨年市街地の某中学校では通学路沿いに高く長く延びるブロック塀を危険だとし、学校評議員会に諮った後、学校長が市に危険性除去に向けた働きかけを電話で要請したところ、所有者の承諾が得られないとの回答があり、そのままになったようだ。
大阪北部地震の後、そのブロック塀の上部は撤去された。視界が広がったそのたたずまいからは安心安全の確保が一目で見て取れた。所有者の決断に敬意を払いつつも、市が昨年の段階で承諾を得られるまで根気強く働きかけられなかったことを残念に思った。事故が起こってからでは遅い。場合によっては所有者に補助金を支給し、塀の補強や危険な部分の撤去を促すことも必要ではなかろうか。
■安心安全な夏休みに
さて先週夏休みがスタートした。長い休みを有意義に過ごすには一日一日安心安全に過ごすことが大前提だ。家庭では安全確保に向けて話し合い、取り組んでいただきたい。危険な場所を確認したり水難事故や事件等に巻き込まれぬよう心がけを説いて聞かせたりするのも大事だろう。
自転車乗りの道路への飛び出しは非常に危険だ。先日交通安全子供自転車大会県大会で明石小学校が団体11連勝、個人でも石嶺真生君が1位に輝いた。八重山のすべての子どもが明石小学校児童の安全運転、確実な運転に続くよう期待したい。
連日の猛暑だ。学校にあっては部活動等熱などへの熱中症対策が肝要だ。