指定管理者制度を導入している石垣市指定の底地海水浴場(底地ビーチ)は昨年7月下旬以降、市直営の管理が続いており、行政コストの低減やサービス向上など、同制度の効果が発現できない状態が長期化している。
市は昨年11月、指定管理者選定委員会(委員長・漢那政弘副市長、14人)で、ことし4月からの指定管理者として新たな事業者を選び、同年12月定例会に議案を提出したが、建設土木委員会(砥板芳行委員長)で継続審議となり、ことし3月定例会で審議未了のため廃案に。市は管理開始を7月に変更した議案を6月定例会に再提出する予定だったが、可決の見通しが立たないとして「仕切り直し」を判断した。
指定管理者制度は2003年9月、公の施設の管理に民間の能力やノウハウを活用することで市民サービスの向上や行政コストの削減を図ろうと、地方自治法を改正して創設されたもの。市は06年度から導入した。現在、14施設で実施している。
このうち底地海水浴場は昨年7月、指定管理者の事業者が期間途中で「市が求める管理は困難」として辞退。これを受け市は、管理業務を明確にした上で年間管理料を403万円から509万円(上限)に引き上げるとともに、自主事業を拡大する内容を盛り込んだ要項を作成、事業者を募集した。
選定委員会は同年11月、「施設の目的達成能力や管理運営を安定して行う物的・人的能力があることから適当と認められた」として新たな候補事業者を決定。12月定例会に議案を提出したが、建設土木委で継続審議、廃案となった。
砥板委員長は、事業者が昨年4月14日に設立されていることから「設立されたばかりで運営体制が十分なのか疑問があった。疑問を解消できる資料を要求したが、納得が得られる資料の提供はなかった」と説明、漢那副市長は「委員会で審議未了となったので仕切り直し。再度公募から始めたい」としている。
一方、市は当初、指定管理料として509万円を予定していたが、直営となったため委託料が拡大。6月補正で291万円を追加、現段階で委託料は800万円と負担増に。さらに、指定管理候補事業者が計画していた収益事業などの自主事業も展開できないため、市民や観光客らが十分なサービスを享受できないおそれもある。