3月31日から石垣港に寄港していた海上自衛隊練習艦隊(湯浅秀樹司令官、乗組員829人)の4隻が2日午前、出港した。入港と同様、歓迎行事実行委員長の我喜屋隆石垣市商工会長らが見送った。今回の自衛艦入港に際しては、市商工会や市観光交流協会(宮平康弘会長)の地元経済団体が初めて八重山防衛協会(三木巌会長)などと実行委を組織して歓迎したことをめぐり、波紋が広がった。
宮平会長名で歓迎レセプションのチケット購入依頼の文書が3月14日付で送られてきた会員の1人は「観光と両立しえない石垣市への自衛隊配備の布石だ」と抗議。別の会員は「どうやって決まったのか分からない」と首をかしげた。
平和憲法を守る八重山連絡協議会(渡辺賢一会長)は「経済団体の政治的な行動」と反発、「自衛隊配備に賛成意見があることも十分承知しているが、石垣市から補助金を受けている団体として中立性を逸脱している」と実行委からの脱退を申し入れた。
防衛協会の依頼を受け、実行委員長職を引き受けた我喜屋会長は「いったん引き受けた以上、最後までやろうと決めた。自衛隊配備の誘致とは関係ない」と後戻りはできなかったと明かし、「今後は、商工会有志でやるなど、十分気を付けていきたい」と述べた。
宮平会長は「訪れるお客さんを出迎え、おもてなしをするのが観光交流協会の務め。会員には理解をしてもらいたい」と述べ、他意はなかったとの認識を強調。今後の対応については「その都度考えたい」と述べるにとどめた。
これについて渡辺会長は「全国では全市民挙げて大歓迎されたとの印象を与えた。そうとらえられては困る」と指摘。観光協会の会員の1人も「クルーズ船と同じ扱いと思ってくれれば…。あまり騒いでほしくない」と言葉少なに語り、協会が自衛隊歓迎ととらえられるのを懸念した。
一方、三木会長は、経済団体が加わった歓迎実行委について「市民挙げて入港を歓迎し、日本を背負って立つ若い隊員を激励したことはいいことだった」と高く評価した。
自衛隊配備が具体化した場合にスムーズに進めるための布石ではないかとの指摘については「自衛隊を知らないで観念的に自衛隊が戦争につながるというのはおかしい。戦後68年間の自衛隊の歴史をみてほしい。観光の島に自衛隊はいらないとも言っているが、逆に自衛隊がいるから人命救助などで安心できるという人もいる。私は(自衛隊配備を)やれと言っている。今回は自衛隊を知る第一歩となったのではないか」と話した。