2018年度第1回市立八重山博物館協議会(大田静男会長、委員10人)が29日午後、同館などであり、委員7人が石垣市内にある倉庫3カ所を視察した。委員からは収蔵品の保存状態を懸念する声が相次ぎ、「一日も早く新博物館を建設してほしい」との意見が委員の総意としてまとまった。
新博物館建設をめぐっては、1998年3月に基本計画をまとめたが、社会情勢の変化に伴い新たに作り直す必要性があるとして、2014年度に新しい基本構想を策定。15年度以降に基本計画を検討する予定だったが、予算措置が認められず、中断したまま現在に至っている。
倉庫は同館敷地内に設置されているプレハブ2棟と、借用している民間倉庫の計3カ所で、陶磁器や蔵骨器(ズシガメ)、書籍、民具などを保管している。
視察後、委員からは「寄贈されたものを一気に見せるような方法を考えないと、忘れ去られていく。そのためにも新博物館の早期建設を」「金属や焼き物、木材などが混在し、工事に使うパイプなどもあった。保存の視点からより分けをするなど、お金をかけずにできることがあるのでは」などの意見があった。
1878年に宮良殿内の分家として、現在の沖縄銀行八重山支店=大川=近くに建てられ、1967年に日本民藝館が購入した後、92年に解体、市に無償譲渡された旧真栄里首里大屋子(マジィドゥシナゴーヤー)の構築材がプレハブに保管されていることについても「将来的に資材を使って復元する予定はあるのか」などの指摘があった。
同館は「98年の基本計画の段階では、新博物館の敷地に民家を復元して、展示する民家園という考え方があった。今後も建物を生かすという考え方は生きていくものと考えている」と述べた。