県は27日、7月1日から石垣ー那覇路線で適用保留を決めていた離島住民対象の航空運賃割引制度「沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業」を従来と変わらずに継続することを発表した。適用保留による運賃改定を受けて、同路線の航空券を購入した県離島住民割引運賃カード所持者には、在住の市町村窓口で差額分を還付することから、搭乗証明書や領収書などを保管するよう呼び掛けている。
県はこれまで、同日から同路線に格安航空会社(LCC)のバニラ・エアが新規参入することから「航空会社間の公正かつ自由な競争が制限される」として、離島住民に対して片道航空運賃の約4割を補助する同コスト負担軽減事業の適用保留を5月17日に決定した。
これに対して八重山3市町と議会、経済団体などは事業継続を求めて県や政府に要請活動を展開。県は26日夕、市に対して適用を継続する文書を電子メールで送付。27日の県議会で翁長雄志県知事も適用継続を明らかにした。
県の通知文書によると▽当該路線の離島住民向け割引運賃(当日購入および追加料金なく変更可能)に価格差がないこと▽離島住民向け割引運賃が、県が想定する運賃水準(新幹線並み)を上回っていること—と示している。県は29日に担当職員を派遣して各行政機関へ還付手続きなどを含めた説明を行う。
これを受けて27日夕、市役所で会見した漢那政弘副市長は「適用継続の判断が出たことに安堵(あんど)している。市民の不安を払拭(ふっしょく)できた」と中山義隆市長のコメントを代読した。
適用継続で航空各社も従来の運賃改定の届け出を行っており、ホームページなどでの確認を呼び掛けている。
市によると、2017年度に石垣—那覇間で同コスト負担軽減事業の延べ利用者数は、前年度1万1825人増の3万8077人。県離島住民割引運賃カードの所持者(昨年12月末現在)は市民の約40%を占める1万9061人。