またもや麻生太郎副総理兼財務相の暴言だ。安倍政権は、言葉の問題を閣議で取り上げてみるべきではないだろうか▼麻生氏は24日、新潟県新発田市での講演で昨年秋の衆議選に触れ、自民党の得票率が30代前半までの若い有権者層で高かったことを挙げた上で「一番新聞を読まない世代だ。読まない人は全部自民党(の支持)だ」と述べた▼持論の展開は、安倍政権への批判が目立つ新聞報道への不満を漏らした発言とみられるが、与党内からも疑問視する声が出ている。当の名指しされた有権者層はこの発言をどう思ったのだろうか。「その通りです」ともろ手を挙げて納得したのだろうか▼麻生氏はさらに「新聞(の購読者増)に協力なんかしない方がいいよ。新聞販売店の人には悪いけど、つくづくそう思った」と語った。ここまでくると、昨年の東京都議選で聴衆に「こんな人たちに私たちは負けるわけにはいかない」と激怒した一国の総理と心根は似てはいないか▼私たちが学んだ歴史の教訓は、時の権力者が不都合を隠すことほど、危険なものはないということだった。だからこそ報道機関には、手遅れになる前に国民に知らせる責務がある▼安倍政権は「美しい国づくり」を説く。ならば国民の心に届くように美しい日本の言葉を大切にするべきだ。(鬚川修)
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