沖縄は23日、戦後73年目の「慰霊の日」を迎えた。各地で追悼行事が行われ、県内は鎮魂の祈りに包まれた。石垣市は同日、バンナ公園入り口の八重守之塔で全戦没者追悼式・平和祈念式を行い、約250人が参列、市関係の全戦没者約4400人を慰めた。中山義隆市長は「次代を担う子どもたちに平和の尊さを形あるものとして語り継ぎ、戦争という愚かな過ちをくり返さぬよう不戦の誓いを内外に訴え続けていく」との平和宣言を行った。
式では、市平和を考える作文の朗読があり、中学生の部最優秀賞の赤池寛太郎君(白保中3年)は、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイ(パキスタン出身)の日常を知って「普通」について考えたことを発表、「平和を創り、守っていきたい。そして、僕たちが感じている普通を世界の普通にしたい」と結んだ。
高校生の部優秀賞の古澤琉希叶(りきと)君(八重山高校1年)は、戦力の不保持を定めた憲法9条があるのに自衛隊が存在する現実に触れ、「それを、どう捉えるかは国民一人一人であって、その重要さをしっかり考えていかなければならない」と提起した。
県遺族連合会八重山支部の喜友名盛允支部長は「支部結成当時、戦没者の妻は100人以上いたが、現在では5人を数えるばかり。時代が変わっても、尊い命を失った歴史的教訓を風化させてはいけない」と述べた。
平和宣言では「戦後に生まれた私たちは、戦争の実相を知り、多くの犠牲の上に今日の平和と繁栄があるということを決して忘れてはいけない」との決意も発信した。
式では表千家不白流沖縄県支部八重山の御供茶、石垣混声合唱団の平和の歌声、作文朗読の後、参列者全員で黙とうをささげた。各団体と全小中高の代表が献花を行った。司会は八重山高校放送研究部の久貝心愛さん(2年)、大道妃夏さん(1年)が務めた。