■観光好調も重い税負担
新年度がスタートした。3市町では年度始め式を行い、新年度の決意を新たにした。消費税が5%から8%にいきなりの増税でわれわれに重い家計負担を課してスタートした本年度は果たして何が起こるのだろうか。
昨年度は待望の新石垣空港の開港で低迷していた八重山観光が一気に息を吹き返し、過去最高の94万人の入域を記録した。おかげで八重山経済も回復基調に乗った。その観光は今年に入っても好調を持続し、街は春休みの家族連れなど大勢の観光客でにぎわっている。非常にうれしいことだ。
この調子だと今年は初の観光客100万人突破で目標の105万人も夢でないと期待は高まる。しかしそこで気がかりが日本経済に水を差しかねない消費増税の悪影響だ。新空港開港の勢いにブレーキが掛からないよう継続した観光プロモーションを求めたい。
さらに経営者の皆さんには、円安値上げに追い打ちをかける消費増税の家計負担を少しでも軽くするため、ぜひいくらかでも賃上げを願いたい。
■許されない集団的自衛権容認
戦前回帰の希代の悪法と批判された特定秘密保護法案を数の力で強引に制定した安倍政権は、今度は憲法の解釈変更で集団的自衛権の行使に突き進んでいる。「戦争をしない国」から「戦争する国」に国の形が変貌するが、それが国民投票による憲法改正の手続きも経ないまま一内閣の閣議で決められるのは決して許されるべきでない。
今日の格差社会を生み出した小泉政権と言い、今の安倍政権と言い、一首相の強権で国の形が簡単に変わる日本は、正常な民主国家なのだろうか。
集団的自衛権行使で八重山出身の隊員も戦地に行く可能性の自衛隊だが、与那国の配備は着実に進んでいる。反対闘争はどう展開されるだろうか。
石垣市も本年度は配備の打診が出てくるかどうか。もし打診が来れば配備の動きは一気に加速する。その際、市長は自然豊かな小さな観光の島に軍事基地や軍隊が常駐することには極力慎重であってほしい。
■役場移転は決着の道筋付けよ
3市町の新年度はどうなるだろう。中山市政2期目の石垣市は、総額230億円の新年度予算を円滑に執行し、さらにポスト新空港となる総事業費約800億円の国営土地改良事業も、本年度から事業をスタートさせ、着実に石垣市の景気回復に結び付けたい。
石垣市ではこのほかに庁舎建設位置決定とともに、初の台湾事務所がどういう役割を果たすかも注目される。
竹富町は教科書問題が尾を引くが、是正すべきは文科省にありで敢然と主張を貫いてもらいたい。役場移転も本年度で決着の道筋をつけたい。与那国町は製糖工場が建て替えられる。島の基幹産業再生のカギを握る7000㌧の原料確保は町のテコ入れが必要だ。
県予算では八重山病院の医療体制強化など引き続き離島への配慮を高く評価したい。一方で本年度は名護市辺野古の海が大荒れしそうだ。基地移設反対の住民と警察など県民同士を衝突させ、その当事者の日米両政府は高みの見物という悲しい事態を、埋め立て承認した知事はどう見るのだろうか。