6年前、高校生だった少女は、難関の自治医科大学への入学が決まり、希望に満ちた表情で取材に応じてくれた。そして今年3月に念願の医師国家試験に合格し、夢実現の取材で再会した▼少女の名は、平山結佳子さん=旧姓内原(24)=。那覇市に住む石垣市白保出身の内原用美さん(57)、新川出身の京子さん(54)夫婦の三女である。医者になるという幼い頃からの夢を、持ち前の日々の努力で成し遂げた▼大学がある栃木県の冬は寒い。慣れない地での6年間の一貫教育、時にはくじけそうになったこともあり、支えてくれた両親への感謝の心を忘れない。サポートした仲間は一生の友だちと語る▼一方、小浜島出身の與西満さん(43)=八重瀬町在住=の長男・涼さん(19)は、琉球大学医学部の「地域枠」に推薦で合格を果たし、中学生の頃から抱いた夢のスタートラインに立った▼二人の熱い思いに触れていると、ふと石垣市出身の書家・茅原南龍氏が常々、講演などで説く「夢は人を磨き育てる」が脳裏に浮かんだ。まさに二人の旅立ちにふさわしい言葉である▼新年度、平山さんは群馬大学医学部付属病院の研修医、與西さんは医学生としての大学生活がスタートする。共に地域医療への貢献が将来の夢。八重山の医療の未来を担う若き二人の大成を願いたい。(鬚川修)
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