1986年2月の根絶以降、最多となる34匹のミカンコミバエが石垣島で見つかったことを受け、県などが石垣島と竹富島で昨年10月から始めた全域防除の対応措置期間がことし4月までに解除されたことが、県病害虫防除技術センターへの取材で分かった。石垣島と竹富島でそれぞれ3月14日、4月25日に全域防除の効果が確認できたことから、那覇植物防疫事務所が防疫指針に基づき解除、通常の警戒レベルに戻っている。
ミカンコミバエは果物全般とナス科果菜類を食害する。根絶以降、県は石垣島内45地点で調査用トラップを設置して警戒に当たっている。2013年度は4匹、14年度は31匹、15年度は7匹、16年度は19匹と散発的、限定的に確認されていたが、昨年は8月から9月までの間に平久保から川平、市街地など広範囲にわたる15地点で計34匹が断続的に確認された。
ミカンコミバエがまん延すると、果物や果菜類に甚大な被害を与え、島外への持ち出しが規制される可能性があるため、県と市は全域で防除する必要があると判断。昨年10月から石垣島と竹富島で、殺虫剤を染みこませた誘殺板をヘリコプターで投下したり、人海戦術で樹木の枝につり下げたりする防除を行った。オスの成虫を誘引する物質でオスを誘殺してメスと交尾する機会を減らしていく防除法。3月までにヘリで4回、人海戦術で3回実施し、計14万8459枚を使用した。
誘殺される数の推移を調べたところ、石垣島では最後に誘殺を確認した昨年11月7日からことし3月14日まで、竹富島では同年12月6日から4月25日までの2世代相当期間、誘殺がなかった。
現在は2週間に1回、調査用トラップを確認する通常の体制となっている。
センターは「ミカンコミバエは台湾やフィリピンから台風の風に乗って飛んでくる可能性やクルーズ船の物流に紛れ込んでくる可能性もあり、引き続き警戒していく」と話している。