奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産登録応援シンポジウム(JALグループ主催、沖縄県・竹富町後援)が2日午後、市内ホテルで開かれた。同世界自然遺産候補地科学委員会委員長で琉球大学名誉教授の土屋誠氏による基調講話「世界自然遺産と八重山の自然」の中で、登録の推薦取り下げに関する内容や、推薦地域に選定するための指標も紹介された。今後、国際自然保護連合(IUCN)からの指摘事項に対応し、西表島に生息するヤエヤマニイニイやチョウ類、糸とんぼなどの情報も、再提出する推薦書に追加する考えを示した。
シンポジウムで土屋氏は▽日本における世界自然遺産登録の経緯▽奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島推薦地の概要▽最近の動向—について説明した。
候補地4島を選ぶために、陸上脊椎動物の固有種、遺存固有種、新固有種、絶滅危惧種の数や、島の面積に対する森林の割合などを指標に定めた。
この中で、西表島は奄美大島や徳之島よりも新しい時代にユーラシア大陸から分離した南琉球に分類され、大陸に生息する種と類縁関係の強い「新固有種」が多く生息するという。昨年2月、ユネスコへの推薦書提出に記されなかったニイニイゼミについても触れ、「推薦書を新たにまとめる場合、こういう情報も盛り込むことになる」と追加の可能性を示唆した。
また、政府の推薦取り下げの閣議了解について「国・県・自治体・地域が一体となり、環境の管理に向けて頑張るチャンスだ」と前向きに捉えた。
基調講話に先立ち、主催者の日本トランスオーシャン航空㈱の丸川潔社長は「地元のために、環境を守り地域の生活や経済発展のお役に立ちたい。皆さんと理解を深め一緒に走っていきたい」とあいさつした。
シンポジウムの最後には、JALグループの機内で販売されている世界自然遺産応援グッズの売上金の一部を、イリオモテヤマネコロードキル防止活動費として竹富町に10万円を寄付した。
シンポジウムは西表島が後世に残すため価値のある「人類の宝」として、自然やそこに生息する動植物の保全と地域活性を目指す目的で開催された。