あす2日は「浜下り」。旧暦3月3日の大潮に合わせて海浜へでかけ、海水で身を清めて厄払いする伝統行事の日で、八重山ではサニズという▼健康を祈願する行事だが近年は家族ばかりでなく、職場や各種団体が親睦の日としてバーベキューやキャンプを楽しんでいる。すでに先週末から、浜辺に繰り出す人々の姿が目立つ▼この時期はモズクが採れ、産卵期でミーバイやクチナジなどよく釣れる。海の幸は豊富で、真っ赤に日焼けしても、なお夢中になるほど楽しい。会話もはずみ、八重山ならではの魅力を満喫できる▼ところが時代は変わった。車社会で島の隅々まで行けるようになった。さらにボート所有者も大幅に増え、これまで行けなかったリーフにも、一般の人々が足を踏み入れている。当然、自然への負荷は大きくなる▼毎年このコラムで浜下りの「乱獲防止」を呼びかけている。海浜レジャーを楽しむのはいいが、サンゴ群生域に入るのはやめよう。数千人単位の人がサンゴを踏めば、一瞬にして相当な面積が死滅する▼八重山は豊かな自然の恩恵を受けている。それを失えば何ら魅力のないへき地になる。サニズは浜辺で楽しむ程度にし、サンゴの多いリーフなどへの「遠征」はやめよう。潮干狩りも欲を出さず、量を抑えるなど少しやせ我慢しよう。(黒島安隆)
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