県は7月1日から、石垣ー那覇路線で離島住民を対象に航空運賃を割り引く沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業の適用保留を決めた。同日から同路線に格安航空会社(LCC)のバニラ・エア(成田国際空港)が新規参入することを受けた措置。離島住民に対して片道航空運賃の約4割を補助している県は保留理由に「航空会社間の公正かつ自由な競争が制限される」としている。これを受けて同路線を運航する航空各社は離島割引運賃を一部変更し、現行運賃(1万500円)に補助額分の6350円を加算した運賃設定に変更を始めている。
石垣ー那覇路線に7月から新規参入するバニラ・エアの片道運賃は3780円からで、1日2往復4便。これを受けて県は、当日利用の運賃が競争状態になると判断して、離島住民を対象に運賃の低減化を図っていた軽減事業の適用保留を17日に発表した。
同路線で軽減事業の適用が保留になるのは、スカイマーク(東京都大田区)が新規参入した2013年7月以来、5年ぶりとなる。
航空各社は18日から離島割引運賃に片道補助額分の6350円を加算した料金設定に変更。これによると、通常期は1万6850円、夏場のピーク期は1万7400円。各社は変更運賃額の販売開始日を確認して購入するほか、各運賃割引プランの利用を呼び掛けている。
子どものスポーツ派遣の随行や応援で本島に行く機会が多い会社員の男性(49)は「補助額を利用者が負担するのは正直厳しい。派遣対象の子どもが複数人いる家庭では金銭的負担で全員を送り出せない。料金が安いLCCでも便数が少なければ利便性は落ちる」と指摘した。
本島出張が多い会社員の女性(56)は「離島割引は当日購入ができ、変更可能なのが大きなメリット。早割は魅力だが、急な都合で変更できない。補助を継続してほしい」と話した。
22日午後、中山義隆市長は取材に対して「(県や航空各社へ)何らかの要請はしづらい。竹富町とも調整して対応したい」と述べるにとどめた。