石垣島の豊かな自然とともに制作活動に励む木工職人の戸眞伊擴氏(77)と陶芸家の宮良断氏(42)のトークセッション「島の木と土が生み出す島のものがたり」(石垣市後援)が20日午後、市民会館展示ホールで開かれた。八重山に息づく自然資源の魅力について、来場者20人余を前に両氏が「木」と「土」の視点から語り合った。
トークセッションは、両氏初のコラボ展「島の木と土展」の一環として実施された。
職人歴60年の戸眞伊氏は、自身のものづくりの原点はふるさとの西表島船浮と紹介し、「幼少期は大人に連れられて山に入り、そこで木の名前や特徴を自然と習った。昔はあらゆるものが木で作られ、人間と木は切っても切れない関係のようなもの」と自然活用と暮らしのつながりを強調。
明治初期に途絶えたとされる「八重山焼」の復元研究を進める宮良氏は「ザラザラした土や赤い土、黒い土など、いろんな種類の土が採れる場所は沖縄でも石垣島だけ。そんな特徴を作品とともに知ってほしい」と呼び掛けた。
島で独自の作品を生み出し続ける意義について、宮良氏は「どの土と混ぜれば良いかと工夫できる力が鍛えられたり、土のある場所で直接、地形や生えている植物などを知れる。その上で作った作品はそれなり魅力を発揮するのでは」と制作に適した土壌に言及。
戸眞伊氏からは「ただ木を保護するだけでは木は老化し、花を咲かせても実はつかない。木を切り倒して使って、植えること。島の木を理解し、木に馴染んでほしい」と提起もあった。
両氏初のコラボ展は、2017年の市制施行70周年記念事業「石垣みらいカレッジ」をきっかけに、戸眞伊氏が島産の材料を活用したものづくりに共通する宮良氏に提案して実現。作品を通して島の自然資源に理解を深めてもらおうと、20日までの2日間、開催された。