■いつまで差別強いるか
沖縄が日本本土に復帰してきょう15日で46年になる。米軍基地の重圧に苦しむ沖縄ではことしも「基地のない平和な島」を求めて宮古は12日、八重山は本日、沖縄本島では11日から13日までの日程で平和行進が行われた。
県民の反対を無視して現在新基地建設が着々進む名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で開かれた出発式で沖縄平和運動センターの山城博治議長は、県内外から参加した人たちを前に「憲法番外地、安保の最前線、戦争の導火線と言われる沖縄。平和を守り抜く大行進にしましょう」(本紙12日)と呼びかけたという。
確かに沖縄は復帰当時県民が望んだ基地の整理縮小はほとんど進まず、逆に日米で軍事要塞化が進み、さらに米軍基地絡みの事件事故で県民は命の危険にさらされる状況が続いている。
2年前にはウオーキング中の20歳の女性が元米海兵隊員に暴行殺害される事件があり、ことしにかけてはオスプレイが墜落したり、米軍ヘリから部品が落下する事故なども相次いでいる。
■米国優先の安倍政権
いわば沖縄では憲法が掲げる平和主義や基本的人権、さらには地方自治よりも日米安保条約や米軍人らを守る地位協定が優先され、一方で本土では地元の反対でオスプレイの移転計画が撤回されたのに、沖縄では反対の訴えは全く顧みられない。
これは山城議長が「憲法番外地」などと言うようにあまりに理不尽な差別だ。特に安倍政権は冷淡で、以前はよく口にしていた「沖縄に寄り添う」の言葉も言行不一致を悟ったのか、今はほとんど口にしなくなった。
その安倍政権が現在の相次ぐ不祥事で退陣すれば基地押し付けの差別も変わる可能性も高まるが、逆に安倍首相が9月の総裁選で3選され、加えて腫瘍が見つかった翁長知事から11月の知事選で県政を奪還すれば沖縄差別はなおも続き、辺野古の新基地建設も加速することになる。いわば復帰46年のことしは沖縄の分岐点でもある。
沖縄に基地が集中するいびつな状況に対し復帰45年の昨年は、一部の保守的な新聞を除く本土各紙は、安倍政権の強権的な対応を批判するとともに、本土の人々も「戦後の日本の繁栄は沖縄の犠牲の上に成り立っている」と沖縄の現状に無関心であるべきでないとの社説を掲載。中には「沖縄の負担軽減のために本土が引き受ける必要がある」と訴える地方紙もあった。
沖縄は空前の観光ブームだが、確かに本土の人々は沖縄の負担軽減にもっと声を上げてもらいたいものだ。
■よもやの自衛隊配備計画
ところで昨年も指摘したが、46年前の復帰当時、八重山に軍事基地ができることを予想した人はいるだろうか。計画通り進めば数年後には石垣にも46㌶という今の野球場から総合体育館に至る石垣市中央運動公園が三つ近くも収まる広大な基地ができる。そこは市民の監視の目が届かない治外法権だ。
しかもそれは本土復帰のさい願った「基地のない平和な島」とは真逆であり、そこで市長の最終判断は「日本一幸せあふれる石垣市」の公約にも逆行する自衛隊配備断念を求めたい。