1992年から石垣島に上陸・産卵するウミガメの調査を行っている石垣島ウミガメ研究会(谷崎樹生会長)は29日、初の活動報告会をサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」で開いた。ウミガメは同じ砂浜に繰り返して上陸・産卵する傾向があり、これまでの調査で20年余りにわたって産卵している個体がいることも分かった。研究会は、ウミガメが産卵する浜では▽車で走らない▽花火・キャンプファイアはしない▽ごみは持ち帰る—よう呼び掛けている。
ウミガメは世界で7種が確認されている。研究会会員の奥山隼一氏によると、日本にはアオウミガメとアカウミガメ、タイマイの3種の産卵域があるが、石垣島は3種そろって産卵する珍しい地域。近年はアオウミガメが増加しているが、アカウミガメは減少。タイマイは顕著な変化はない。アカウミガメの減少について奥山氏は、海水温の上昇傾向が原因の一つではないかとの見方を示した。
ウミガメは数年に1回の割合で産卵シーズンを迎え、同シーズンには何度も上陸して産卵する。アオウミガメの場合、約10日間隔で最大7回産卵し、3~5年で栄養を蓄えた後、再び産卵にやってくるという。
このうち「ハルミ」と名のついた個体は1992年に初めて確認されて以降、2013年までに3~4年おきに計7回産卵している。甲長は106㌢と最大級。2010年に確認した際には甲羅がぼろぼろの状態で、産卵できる期間が長期に及ぶことを証明する個体となっている。
ウミガメは人気のない静かな場所で産卵し、人間の声やライトを察知すると上陸を止めるため、研究会は海浜環境の保全も重要としている。