10月に開院予定の新県立八重山病院での敷地内薬局設置に関する意見交換会が12日午後、八重山病院内で開かれ、病院関係者、石垣市、県薬剤師会、八重山の医療を守る郡民の会などから16人がテーブルにつき、議論した。賛成派から「患者の負担を考慮し暫定的な設置」を求める声が上がる一方で、反対派は「薬服用による相互作用を考え、かかりつけ薬局の重要性」を訴えた。集約された意見は今後、同病院が敷地内薬局を設置するか否かの判断材料となる。
県立病院課によると現在、新病院に一番近い門前薬局の開設場所は、病院の入り口から250㍍離れており、「炎天下や悪天候時に交通弱者などの患者に不便をかける」と懸念されている。
市都市建設課は、旧空港跡地利用の区画整理進捗(しんちょく)状況の関係で、区画内での薬局整備は、早くても2021年度以降と示している。
参加者からはこうした現状を踏まえ「整理が進み設置が可能な時期まで、暫定的に敷地内薬局の設置をお願いしたい」、「体の弱い方、離島や石垣島の西北部から通う住民を安心させるために必要だ」と賛成意見が上がった。
沖縄県議会へ「敷地内薬局設置に反対する陳情」を提出している県薬剤師会の亀谷浩昌会長は、弱者に対して不便をかけるつもりはない、と前置きし「薬の効果を確認後、副作用がでたら早めに医師へつなげることで医療費負担の軽減にもなるのでは。飲み合わせが悪いと、死亡するケースもある」と指摘。敷地内薬局が設置された場合、街薬局への需要低下で薬剤師が育たないことを不安視した。
同院の篠﨑裕子院長は、高度な薬の処方は八重山病院、簡単な解熱剤などの処方は街薬局で行う〝すみ分け〟を想定して「当院としては、患者さんのために敷地内薬局を造る方向で進めたい」と考えを述べた。