先月末から今月初めにかけて元沖縄大学学長の新崎盛暉さん(82)=東京都出身=とアニメーション映画監督の高畑勲さん(82)=三重県出身=が相次いで亡くなった▼新崎さんは両親が沖縄出身ということもあって沖縄の現代史を研究し内外に発信する一方、琉球弧の住民運動や金武湾闘争、一坪反戦地主会を結成しての米軍基地反対闘争など、いつも沖縄の社会運動を理論的にけん引する精神的支柱だった▼川平などの土地を守る運動や島おこし運動などの折、何度かお会いしたが、故筑紫哲也さんにも似た穏やかな語り口と笑顔が思い浮かぶ▼野坂昭如さん原作の反戦アニメ「火垂るの墓」や「アルプスの少女ハイジ」などの名作を手がけた高畑さんは、「戦争国家」に突き進む安倍政権を批判し、「辺野古基金」共同代表の盟友・宮崎駿監督と共に沖縄に思いを寄せた一人だ▼子どものころの戦争体験が「海外の戦争に介入せず、外交で平和を維持する原発もない国で死にたい」と辺野古や高江の座り込みにも突き動かしたという▼大田昌秀元知事や永六輔さんらもそうだが、そういう発信力の強いリベラルな方々が亡くなるたび、いつか来た道を進む安倍政権に不安が募る。底なしの今のモリ・カケや自衛隊の日報問題などは、その何かの“予兆”なのだろうか。(上地義男)
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