建築物の高さが13㍍を超える場合は景観形成審議会の意見を聞く、との条件付き緩和が盛り込まれた川平地域景観地区変更原案に対し、川平公民館(糸数靜雄館長)の役員らは「公民館が再三、現行維持を要請したことが無視された。景観形成審議会の意見に拘束力はなく、骨抜きにされる。高さの制限がなくなってしまう」と危機感を募らせている。海岸沿いで建設が予定されている大規模リゾートホテルが高層化するのではないか、と懸念する声も上がっている。
川平景観地区は約1850㌶。今回の見直しでは面積と建築物の高さ(7㍍以下と10㍍以下)に変更はないものの、集落以外の地区約999㌶で建築物の高さが13㍍を超えるものについては景観形成審議会の意見を聞くとの「ただし書き」が加えられた。
糸数館長は「これまで3回石垣市に要請してきたが、ただし書きで抜け道をつくられた。景観形成審議会は拘束力を持たないので高さ制限はあってないのと同じになる。実態は制限がないことになる」と懸念。
別の役員は「公民館の要請が無視されたことになる。石垣市は景観法や風景づくり条例に基づき、市民の協力を求め、事業者を指導する立場になるが、原案を見ると、これに逆行している。島の景観を守るための調整役を自ら否定しているような印象を受ける。原案が確定すれば、計画が進んでいるリゾートホテルも高層になるのではないか。集落の周辺が乱開発されるおそれがある」と話した。
公民館は「川平集落の自然景観を破壊し、古い歴史をもつ川平地域の人々の絆を引き裂くことにもなり、将来に大きな禍根を残す」として昨年1月に市長、議長に対して制限事項の現行維持を要請した。4月には286人の署名簿も提出した。
公民館は4月2日の定期総会で、変更原案への対応方針を再度決める予定。市が予定する公聴会などでも、意見を提出するなど原案に反対していく考えだ。