3月定例石垣市議会(知念辰憲議長)は23日、砥板芳行、井上美智子、小底嗣洋、長山家康の4氏が一般質問を行った。現庁舎の跡利用について当局側は、新庁舎に移転する2020年度までに施設内容を決定し、速やかに事業に着手できるよう準備を進めていく方針を示した。中山義隆市長は、市内で見かけた道路の損傷などの問題をスマートフォンなどで手軽に投稿して解決につなげる無料アプリを導入すると明言した。
現庁舎の跡利用について大得英信企画部長が砥板氏に「防災拠点機能、にぎわいの創出を図る施設にしたい。跡利用計画策定に着手しており、新年度には課題を整理し、方向性や事業手法を検討する。新庁舎の供用開始までには施設内容を決定し、速やかに跡利用に着手できるよう進めたい」と答弁した。
庁舎の移転が決まる前に策定された美崎町開発構想については「庁舎跡利用計画と整合性をとる必要がある」(安里行雄建設部長)として見直す考え。安里部長は「美崎町再開発構想を具現化するため、払い下げは留保する」と述べ、1997年から同町内市有地の払い下げを進めてきた方針を一時凍結する。
道路の破損、落書き、街灯の故障、不法投棄などの地域の課題をスマホを使って共有・解決していく手段として、長山氏が「市民協働のまちづくりに効果がある」と専用アプリの導入を提案。中山市長は「早急に対応して導入する」と応じた。
小中学校へのクーラー整備の財源の一つとして知念永一郎総務部長は「教育委員会内で不用額が出た場合は、補正予算で優先的に配分する」と述べた。井上氏への答弁。当初予算で不用額が出た場合、これまでは市長部局に一括してプールしてきたが、新年度からは教育委内で優先的に使えるようにする。
3期目の公約に掲げている「八重山会館」について中山市長は「竹富、与那国両町と連携しながら、さまざまな国・県の制度や民間活力を活用し、市民や郡民の負担が少なくなるような方式をとりたい」と答弁した。質問した小底氏は「広域行政も生かしてほしい」などと積極的な取り組みを求めた。本島で建設を目指す同会館は郷友会活動の拠点を兼ねた、児童生徒や難病患者家族らの宿泊施設としている。
【石垣市議会一般質問要旨】
▶教育環境整備
砥板芳行氏=空調設備の整備はどうなっているか。市長の公約である給食費の段階的無償化の取り組みは。
宮良長克教育部長=寄付やクラウドファンディングで約2200万円いただいた。新年度の早い時期に中学校14教室、小学校5教室にクーラーを設置する。給食費は第3子に全額補助している。2018年度は約330人に支給予定で1530万円を計上している。また、全児童生徒を対象とした少子化対策給付事業として児童に1食当たり38円。生徒に41円の助成を行っている。18年度は5200人に計4020万円を支給する予定。
▶資産報告書
井上美智子氏=昨年12月議会で、訂正前の資産報告は情報公開制度に基づく請求の対象と答弁したが、請求すると議会答弁と異なっていた。
大得英信企画部長=訂正前のものは所管課で保管し、情報公開の対象と認識していたが、訂正前のものを見たいとの要求が強かったため、解釈を変更して閲覧に供した。
井上氏=議会答弁を軽視するものだ。
▶預かり保育の停止
井上氏=4、5歳児童を継続して同じ施設で教育・保育を行う環境は整うのか。
宮良亜子福祉部長=2018年度からの移行措置で、新規募集を停止し、幼保連携型認定こども園の施設回収を行っていく。現在利用する保育所を希望すれば利用は継続される。4、5歳児は全員受け入れができる。
井上氏=預かり保育を担当する人の勤務をどう保障するのか。
宮良部長=資格取得に向けバックアップしていく。
▶陸自配備計画
小底嗣洋氏=配備了承手続きについて4公民館は理解したのか。
中山義隆市長=相手のあることなので。
小底氏=あなたの話には乗ってこないと思う。
中山市長=今後お会いする機会をお願いしたい。誠意をもって対応したい。
▶空港
長山家康氏=南ぬ島石垣空港の将来ビジョンの策定が必要だ。
大得企画部長=開港後、予想を上回る観光客が来島しており、包括的に対応する必要があると感じている。ビジョン作成については県とも意見交換しながら取り組みたい。
▶子育て・介護支援
長山氏=昨年も入所選考結果の通知が遅いとの指摘があった。
宮良福祉部長=第1回入所選考は3月2日に発送、第2回は19日発送した。保留者の再調整に向け業務を行っている。
長山氏=昨年から改善されていない。
宮良部長=入所申込者は毎年、増加現状にある。保護者の希望に近づけるためにきめ細かい入所選考を行っており、時間を要している。次年度から早めに発送できるよう業務の効率化に取り組みたい。
長山氏=人工知能(AI)を導入し、1月末か2月上旬に通知できるよう検討を。
宮良部長=財政面も調整しながら検討していきたい。
長山氏=紙おむつを使用している世帯では、処理の負担が大きい。市はごみの減量化のために有料化しているが、生理現象である「排せつ」を対象外にすべきだ。
前底正之市民保健部長=燃やすごみとして有料ごみ袋を回収しているが、有料ごみ袋の提供は可能。関係部署と協議して検討する。
宮良福祉部長=高齢者、子育て、障がい者の世帯の負担軽減に向け連携を図りたい。