成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が去る13日、閣議決定された。通常国会で成立すれば2022年4月に施行される見通しだ▼16年に選挙権が18歳に引き下げられており、より若い年齢で自立と社会参加が進むことになる。ただ、18歳は高校3年生。大半が高校に通っている生徒であることを考えると、成人としての自覚、責任が伴っているのかは疑問だ▼不安材料は、親の同意が無くともローンなどの契約ができるようになり、消費者被害の拡大が懸念される。民法では、未成年者の契約はほぼ無条件で取り消しが可能。だが、成人の場合は詐欺や脅迫などでない限り、取り消しはできない。被害に遭わないために学校などで消費者教育の充実が必要となろう▼また、成人式は1月。大学や専門学校など、高校卒業後の進路を決める重要な時期と成人式が重なる。19歳、20歳の成人式が空白となる異例な事態もおこり、混乱が予想される▼一方、飲酒、喫煙、公営ギャンブルは禁止年齢が既存の20歳未満に据え置かれる。結婚年齢も改正され、女性は16歳から男性と同じ18歳となる▼成人年齢の引き下げは、若年層の自立、社会参加が早い段階で進む半面、大半が高校生の中、成人としての責任、自覚をどこまで持たせられるのか。課題は多い。(下野宏一)
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