【竹富】島内の貴重な自然環境保全と島独自の農村集落景観の再生を目的に、竹富島が2019(平成31)年4月の活動開始を目指す竹富島地域自然資産地域計画(仮)の素案が20日、公表された。保全活動の一環として、地域自然資産法が自治体による入域料の徴収を認める「地域自然環境保全等事業」と、土地の取得・管理を行う「自然環境トラスト活動促進事業」の二本柱。入域料の活用や基金への積み立てで、島の喫緊の課題であるごみ・排水処理問題や外来種問題、土地の利用低下の解消につなげる考え。
同日午後、竹富島まちなみ館で開かれた第3回竹富島地域自然資産協議会(委員長・池田孝之琉球大学名誉教授)で同計画素案が示された。
素案では、地域自然資産法を法的根拠に、地域自然環境保全等事業で▽生態系と農村集落景観の保全・再生▽調査研究、技術継承・人材育成、協力体制構築—の二つを展開し、19活動項目を定めている。
任意の協力金の位置づけで、同活動に賛同する島への入域者から入域料100円前後を徴収し、町内で運航する3船舶会社の乗船券に付帯するとした。
入域料の免除対象者として、▽竹富島島民▽郷友会員▽島に家族を有する高校生以下▽島内事業所で就労する通勤者▽障がい者—を記している。
事務局は、入域料を1人当たり100円徴収した場合、年間入域観光客数50万人で活動充当可能金額に4000万円を試算。余剰金が発生した際は、「竹富島地域自然資産基金」、または「自然環境トラスト活動基金」に積み立てる方針。
こうした事業の実施組織として、島内での一般社団法人竹富島地域自然資産協会(仮)の新規設立も盛り込んでおり、入域料の収受事務、事業活動の委託などを見込んでいる。
第3回協議会では、委員を務める北海道大学観光学高等研究センターの西山徳明センター長が「島民が本当にやりたい活動や、環境保全のために買い上げる土地の面積。いつまでにどれほどのお金が必要かを計算して、(入域料の)単価を決める時代」と提案。
オブザーバーの環境省那覇自然環境事務所の速水香奈氏は「(トラスト活動での)土地取得は公益性の担保を図る考えが重要」と話し、池田委員長は「この法律を受けながら、この基金をつくって、だれが徴収・運用・活用するかの仕分けが出来てない」とただした。
同協議会は今後、5月に最終協議会を開催して同計画をまとめ、6月までに西大舛髙旬竹富町長に答申する予定。環境省や文化庁など関係機関と調整を図りながら、活動開始を進める。