「同じようなことが会社で起きている。日曜日に投票に行けるのに、決められた時間に送迎されて投票する。こういうやり方が公正か」。読者から匿名の電話があった▼期日前投票に触れた6日付小欄「所属する組織や団体の幹部から投票を依頼され車両で送迎されれば、そのとおりに投票する心理が働くと聞いた」との内容への反応だった▼期日前投票制度は2003年の公職選挙法の改正で要件が緩和され、面倒な手続きもなく簡単に投票できるようになった。これに伴ってどんなことが起きたのだろう▼各陣営の戦術が変わった。それまでは、選挙期間中に候補者を知ってもらい、政策を浸透させて支持を拡大させるというやり方だったが、今では「毎日が投票日」と期日前投票を促したり、連れて行ったりするのが選挙運動になった感がある▼気が変わらないうちに期日前に投票を呼び掛けたり、意中の候補者が定まっていない有権者に依頼したり。票の囲い込みに利用されており、不正の温床になるおそれもある▼今回の期日前投票者数は総投票者数の5割前後に達する勢い。「異常」と言われている。名護市も同様だった。「何のための選挙運動か」と疑問が出るのは当然。投票率を高めるのはいい。でも内実は。制度の見直しを考えてもいい。(比嘉盛友)
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