「前車の轍(てつ)を踏む」。先人と同じ失敗を繰り返す意味だ。先日、石垣市内の小学校に勤務する臨時任用教諭が酒気帯び運転で逮捕された。「石垣教育の日」の慰労会で飲酒した後、ハンドルを握った▼運転代行を頼み、待つ間に駐車場から車道に車を出し、駐車した所を逮捕されたようだ。たとえ短い距離でも飲酒後、車を運転した行為は軽率だ▼石垣市内では2015年に教諭による飲酒運転死亡事故が発生。これを受け八重山地区小中学校長会が▽飲酒の場に参加する教職員からは車の鍵を預かる▽飲酒する予定の者は車でこない▽服務規律に関する定期的な研修の実施—などの飲酒運転防止策を決めた。それから3年、酒気帯び運転で逮捕者が出た▼そもそも、当時の防止策は現在、教育現場で守られているのだろうか。仮に守られていないのであれば、今回の逮捕は氷山の一角の可能性もある▼交通安全講習会などで説明される飲酒後、体内からアルコールが抜ける目安は350㍉㍑のビール1杯3時間。単純に3杯飲めば9時間だ▼飲酒そのものは悪くはない。ただ、翌日の仕事、車の運転などに影響が出ない飲み方が必要だ。いま一度、子どもたちに社会のルールを教える教育者としての自覚と責任を持ってほしい。3度目があってはならない。(下野宏一)
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