与那国町立診療所に昨年5月、CT(コンピューター断層撮影)装置が導入されて以降、CT検査で的確な診断ができるようになり、海上保安庁などのヘリコプターで患者を島外の病院に救急搬送するケースが半減していることが分かった。患者や家族にとって、島外で検査を受けずに済み、経済的負担の軽減にもつながっている。
同診療所はこれまで脳出血を発症した患者をヘリで石垣市へ救急搬送していたほか、内出血がなくても問診や触診で確認できないこともあるため、万が一に備えて搬送するケースがあった。
この場合、異常が見られないことも多く、患者は帰りの航空運賃など経済的負担を強いられていた。
CTは身体にエックス線を照射し、通過したエックス線量の差を集め、コンピューターで処理して身体の内部を画像化する装置。
診療所によると、短時間で体内の必要な情報を大量に得ることができるため、急患搬送が必要かどうか的確に判断できるようになったという。
この結果、2011年度20件、12年度28件だった急患搬送はCT装置導入後の13年度は3月19日現在で12件にまで減少している。
CT装置は、町が沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用し、3700万円をかけて導入。外間守吉町長は「町民の負担も軽減でき、安心して住めるまちづくりに大きく貢献している」と話した。
与那国町内の40代男性は「子どもを持つ親として、診療所の設備が整うことはうれしい。他にもいろんな検査が受けられるようにしてもらいたい」とさらなる医療の充実に期待を込めた。