■18年度から5カ年計画
石垣市のひとり親家庭自立促進計画が、このほど同策定委員会(山内優子委員長、委員12人)から市長に答申された。県内11市中5番目の策定で18年度から5カ年計画で自立を促進する。
計画は第4次総合計画の「誰もが安心して子どもを生み育てることができる環境づくり」の方針に基づき、ひとり親家庭の生活の安定と向上を図り、保護者と子どもが健康で文化的な生活を送ることができる環境づくりを推進するため①相談機能・情報提供体制の充実②子育て・生活支援③就労支援④経済的支援⑤養育費の確保—の五つを重点項目に設定した。
現在石垣市では来月11日の市長選に向けて3選を目指す現職の中山義隆氏、革新系無所属で前市議の宮良操氏、保守系無所属で県議の砂川利勝氏の3人が熱い戦いを繰り広げているが、誰が市長になってもひとり親世帯の自立支援は待ったなしの状況であり、計画を“画餅”にすべきでない。むしろ支援をきめ細かに充実強化すべきだ。
■母子世帯の所得年87万円
実態調査結果によると、石垣市の児童扶養手当受給のひとり親世帯は862世帯(母子773、父子89)、受給者は906人もいて全児童生徒の約1割はひとり親家庭で生活しているという。そして母子世帯の年間平均所得は78万3千円、父子世帯は105万3千円といずれも低い。
厚労省の資料では母子世帯の全国平均年収は223万円、沖縄は155万円であり、石垣市の母子世帯はいかに生活に困窮しているかがわかるというものだ。それは見た目にはわからないが、進学もためらう「子どもの貧困」の深刻さをうかがわせる。
そこで石垣市では自立促進計画を策定し、前記の重点項目に沿って自立を支援していくことになった。そして18年度は県が実施している「母子家庭等生活支援モデル事業」を導入。初年度は民間アパートを3世帯分借り上げ、1年間を原則に学習や就労、子育てなどを総合的に支援し、市営団地の入居も優遇するという。
しかし将来的には「母子寮」の「母子生活支援施設」も設置し、モデル事業と両面からの支援も必要だ。
■まず支援策の周知徹底を
ひとり親世帯の支援に関しては国や県、市町村でさまざまな制度や助成があるが、実態調査では「そういう支援を利用したことがない。どういう支援があるか、どこで情報を手に入れることができるかもわからない」の意見が多くあり、支援策が母子世帯などに十分周知されていない実態が見える。
そのため自立促進計画では「当事者目線で支援を行える人員・組織の整備や広報啓発の強化が必要」として▽ひとり親家庭の悩みや課題に対する細かな対応ができ、また的確な施策などの情報提供ができるよう母子父子自立支援員の配置など総合的・包括的な相談体制の整備▽全庁および関連機関、ひとり親家庭支援団体などとの連携▽リアルタイムかつ直接的な情報提供・広報活動など相談機能・情報提供体制の充実—を重点項目に挙げた。
母子世帯は自分から相談できない人も多い。まず気軽に相談できる体制と支援策の周知徹底は急務だ。