【西表】環境省那覇自然環境事務所は22日午後、2013年度イリオモテヤマネコ保護増殖検討会(座長、土肥昭夫・元長崎大学環境科学部教授)を竹富町離島振興総合センターで開き、事故防止に向け、モデル地区設置を検討することを確認した。事故が多発している事態を受け、ヤマネコが道路に出るのを防ぐフェンスの設置やパトロールの実施など対策を講じたい考えだ。
検討会では、交通事故の発生原因について「車のスピードの出し過ぎ」「道路の見通しが悪い」のほか、ヤマネコが路上でエサを捕ったり、幼獣が路上に出てきたりすることが挙げられた。
子育て中のヤマネコは警戒心が強く、これまで親子で姿を見せることはめったになかったが、最近では親子で路上に出てくることがあるという。西表大原ヤマネコ研究所の岡村麻生所長代理は「人や道路に慣れてしまい警戒心が薄くなるなど、ヤマネコの性質の変化が深刻だ」と報告した。13年のイリオモテヤマネコの交通事故件数は6件と過去最悪となり、昨年10月25日に竹富町と同事務所が「非常事態宣言」を発表。観光客やドライバーに注意を呼びかけているが、今年に入ってすでに2件の事故が発生している。
ヤマネコの交通事故は、1990年代ごろまでは発情期の冬場に行動が活発になるオスが被害に遭っていたが、近年は夏場の子育て期にメスが事故に遭うケースが増えている。冬場に比べ、夏場は観光客が多く、これに伴って交通量が増加したことが要因とみられている。