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市長選保守分裂の泥仕合か

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 ■三つどもえ

 明日は、沖縄県政の今後の動向を左右するという名護市長選の投票日。これが終われば、3月11日投開票の石垣市長選が一気に動きだすだろう。

 市長選には保守系から現職の中山義隆、県議の砂川利勝の両氏、革新系からは市議の宮良操氏が立候補を表明しており、三つどもえの選挙が濃厚だ。市議補選には2人が出馬表明している。

 現職の中山氏に対しては、保守内部でくすぶっていた反中山派がここにきて中山市政の総括を求めて公然と批判し激しく対立。対抗馬として砂川利勝県議を擁立し出馬表明する事態となった。

 自民党石垣市支部(石垣亨支部長)は、自民党県連が推薦した現職の中山氏決定に従わず出馬したとして、砂川県議と砂川氏支持の2市議の除名処分を県連に求めている。

 除名を求められている両市議が1月30日、記者会見を行い、除名処分の根拠に反論した。それによれば、2016年6月議会での自衛隊配備採決の対応をめぐり、当時の支部執行部と現執行部役員が対立し、市長寄りの現執行部議員が支部脱退を表明したことから、当時の支部長が役員を辞任し砂川氏を支部長に選任、政治団体規制法に基づく政治団体としての役員変更届も行った。

 これをもとに、何を根拠に除名かと批判したのだ。それに対し石垣市支部の砥板幹事長は「県連も党も現支部役員を実態として認めている。現役員の新体制に移行する調整作業を県連と行っている」と正当性を強調し反論。告示を前に泥仕合の様相を呈している。

 保守分裂により、現職有利という下馬評は一転、混沌(こんとん)としてきた。

 ■争点は自衛隊問題

 今回の市長選挙の争点は陸上自衛隊基地建設問題であろう。

 宮良氏以外は自衛隊基地受け入れに賛成といえる。

 現職の中山氏は、防衛省の陸上自衛隊配備打診に対し、2016年12月に平得大俣への配備計画について事実上受け入れを表明した。

 にもかかわらず、反対住民と対話しながら最終判断を行う立場を堅持し保留している。「国防外交は国の専権事項」と主張してきた中山氏が今更国の選定した候補地に口を挟むことは自己矛盾ではないか。後ずさりはもはやできない状況だ。

 中山氏は2012年に出版した著書のなかで石垣港を海上自衛隊の母港とする対応をとると記している。だとすると、中山氏は陸海両自衛隊基地受け入れを容認しているとの立場と言えるのではないだろうか。保守分裂は陸自派、海自派の対立が原因と指摘する人もいる。

 ■注目される代替案

 砂川氏は平得大俣を白紙に戻し、住民の合意が得られる場所を市が探して防衛省に提案すると述べている。しかし、市民や宮良、中山両陣営からも疑問の声が上がっている。

 なぜなら、防衛省は18年度予算に136億円を組んでいるからだ。そのうち123億円は平得大俣の土地買い上げ予算である。防衛省はこれまで平得大俣を前提として住民説明会を開催してきた。一日も早く着工したい同省が、砂川氏の提案に果たして耳を傾けるだろうか。一方で、もめているところで造る必要はないとの意見は保守系にもかなりある。

 陸自配備に関しては、中山氏の平得大俣容認か、砂川氏の平得大俣白紙か、宮良氏の石垣島のどこにも配備反対・阻止か、のいずれかが問われている。


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