㈲美崎畜産(美崎伸栄代表)が生産する自社ブランド牛「美崎牛」を販売する㈱美崎牛本店(美崎信二代表取締役社長)は、日本産牛肉の輸入を16年ぶりに解禁した台湾に、枝肉の出荷を開始することになった。春節(旧正月)の2月16日までには消費者に届く見通し。毎月6~7頭の出荷を計画する。JA石垣牛に先駆け、石垣島から民間ブランド牛が台湾市場に進出することになり、現地での反応が注目される。一方、八重山食肉センターには海外輸出に必要な衛生管理システムが構築されておらず、島外での処理を余儀なくされるため、早期の対応が求められそうだ。
台湾当局は昨年9月18日、日本で2001年に牛海綿状脳症(BSE)が確認されて以降、禁止していた和牛の輸入を解禁。これ以降、和牛の需要が高まっているという。
美崎牛本店によると、解禁に向けては台湾人関係者からオファーを受け、出荷に向けた準備を進めた結果、台湾の食品卸売会社と契約した。
卸売会社の鍾佳融代表は「2016年に初めて美崎牛を口にしたが、言葉にできないくらいのおいしさ。肉の柔らかさと甘みは初めて口にするもので、台湾にも広めたいと思った。和牛焼き肉店などで美崎牛を並べて売っていきたい」と話している。
同本店は16日、鹿児島県下の食肉センターで処理するため、初出荷用の6頭を船積みした。1頭から400㌔の枝肉がとれるため、出荷量は2400㌔前後になる見込み。枝肉処理後は鹿児島から高雄に海上輸送、高雄から卸売会社のある基隆まで陸送される。
海上輸送のコストがかかるため、販売価格は割高になるが、美崎社長(42)は「負担はかかるが、台湾では富裕層をターゲットにしている。1人でも多くの人においしさを知ってもらい、石垣島に行ってみたいという人が増えれば、観光振興の手助けにもなる。台湾を足がかりに将来的にはアジアやヨーロッパにも挑戦したい」と話している。
美崎牛を生産する美崎畜産の美崎代表(49)は「食文化を共有することで、経済的な交流につながればと思う。どこまで通用するか勝負をかけたい」と意気込む一方、「八重山食肉センターには早めに出荷できる体制をとってもらいたい。そうすればと畜料も地元に落ちる」と要望した。