八重山闘牛組合で昨年11月、第7代組合長に上地かおりさん(44)=石垣市石垣=が就任した。組合設立55年で初の女性組合長。全国でも初めて。「屈強な男たちの世界」というイメージの強い闘牛界を発展させようと奔走、「私一人で引っ張るのではなく、組合員の皆さんと協力して盛り上げていきたい」と抱負を語る。フットワークの軽さと求心力が魅力。女性組合長の誕生で八重山闘牛界に新たな風が吹き始めている。
八重山闘牛界に多大な功績を残した故・黒島孫全氏(享年70)の4人兄妹の末っ子。みなぎるバイタリティーは父親譲り。2010年、孫全氏の他界をきっかけに日本トランスオーシャン航空八重山支社を退職して一転、闘牛の道へ。
組合長就任後、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を活用した同組合の情報発信や県内外で各闘牛団体との交流を強化。自ら現地へ足を運びトップセールスも行う。
現在、同組合員は25歳から70歳までの22人。闘牛は約90頭。このうち70頭が上地さんの兄弟や家族で経営する牧場に所属する。
牧場では闘牛の育成も行っており、「私にとって牛たちは1頭1頭家族のような存在」と愛情を込める。実戦を想定して週1回の訓練を行い、体調を整えるため餌にも気を使う。
好調な八重山観光とともに、年3回(1月、4月、8月)の大会を観戦しようと本土から訪れる闘牛ファンも多く、「闘牛女子」の獲得にも意欲的だ。
今月12日には闘牛場の改修工事にも着手しており、完成後は多目的施設として観光業の活性化にもつなげる考え。闘ヤギとタイアップした取り組みにも期待を寄せる。
闘牛界の歴史を築いた先輩たちに感謝しつつ、他県のように八重山闘牛を重要無形文化財指定も目指す。上地さんは、「粘り強く頑張り、闘牛文化を後世に残していきたい」と決意を新たにしている。