おもと集落は23日、入植から60年の節目を迎え、記念式典と祝賀会を農村多目的集会施設で開いた。地区外からも出身者が出席、60年の歩みを振り返り、開拓者の労をねぎらうとともに今後の発展に決意を新たにした。喜友名朝福館長は「先輩方が築き上げた部落の発展に、これからも2世、3世が心を一つに頑張っていこうではないか」と力強く呼び掛けた。
おもとは、最後の計画移民地。先遣隊18人が1957年5月19日、真栄里山に入植。住居をつくり、食料となるサツマイモや水稲の栽培を始めるなど、半年で最低限の生活基盤を整えた後、同年12月23日に家族とともに入植した。当時の北谷村から13世帯、玉城村から5世帯、与那国町から2世帯の計20世帯。62年6月19日に真栄里山を「おもと」に改名した。現在、移住者を含め27世帯が暮らす。
式典ではまず物故者に黙とう。喜友名館長が「ジャングルを血のにじむ努力で切り開き、励まし合い、慰め合いながら、この地で必ず成功するんだという開拓1世の強い精神力でおもと部落が生まれた。大変なご苦労をされたと思う」と感謝した。
開拓1世の喜友名朝徳さん(94)が「当時は道具がなく、クワとツルハシ、カマで開墾し、苦労した。今は機械があるので楽。楽しい生活を送っている。節目をお祝いしてもらいたい」と述べ、乾杯の音頭をとった。
舞台では八重山農林高校郷土芸能部、大本小学校児童らが踊りや歌を披露し、祝賀会を盛り上げた。