障がい者への支援法の見直しなどで、民間の支援事業への参入が容易になったことで、石垣市内で身体・知的・精神障がいを持った人に就労の機会を提供し、自立した日常生活と社会生活を支援する「就労継続支援事業所」が2014年度以降、増加傾向にある。同年度の7カ所から17年度には18カ所に増えている。利用者が「笑顔が増えた」「障がいをプラスに捉えられるようになった」と歓迎する一方、各施設の活動やサービスの内容が十分に知らされておらず、周知の徹底が求められそうだ。
支援事業所は、65歳未満を対象に雇用契約を結んで賃金を支払う「A型」が6カ所、非雇用型で工賃を支払う「B型」が12カ所。定員335人に対し利用者は261人となっている。主な作業は小物の生産作業、農業、食品加工。施設の増加に伴い自分に適した就労を求めることができるなど、選択の幅が広がっている。
石垣市障がい福祉課は「自宅に引きこもる人、サービスを知らない人に周知し、理解されれば利用者も増えるのではないか」として、広報いしがきやホームページ上で事業所の紹介も行うなど利用促進を図っている。
9年程前に脳梗塞で倒れ、右半身にまひが残る根間直美さん(53)は当時、食事も喉を通らないほど落ち込んだ。「人生に光りがみえなかった」と振り返る。14年から市内のB型事業所へ通うようになり、同じ障がいを持つ人たちやスタッフと関わることで次第に元気を取り戻し、「外に出ることが楽しくなった」という。今では、笑顔の絶えない事業所で作業を楽しんでいる。
同じく脳の障がいで、左半身にまひのある長嶺澄枝さん(68)は、15年から根間さんと同じ事業所に。自分のペースで作業を進める一方、自身の抱える悩みを打ち明けたり、アドバイスをもらったり。悩みを笑いに変えてくれる〝仲間〟に安心と信頼を覚え、「仲間は家族のような存在」とほほ笑む。人目を気にせず堂々と街を歩けるようになり、「考え方がプラス思考になった」と前向きな生活を送っている。