首都圏を拠点に、〝三線アーティスト〟として活躍する鳩間島出身で竹富町観光大使のかじくあつしさん(36)=横浜市=。2014年からFM仙台「琉球の風~ゆんたくタイム」、かわさきFM「琉球リミテッド~かりゆし超特急」と、毎週2本のラジオ番組でパーソナリティーを務め、沖縄の魅力を発信している。
「琉球リミテッド」は、川崎沖縄県人会から同会の創立90周年をPRしたいと相談され、何気ないかじくさんの提案から地元FM局の公開スタジオで夜1時間枠の番組がスタートした。
「琉球の風」は、東日本大震災復興イベントへの出演がきっかけ。毎年、宮城から沖縄への観光客が約8万人いることから、「仙台で沖縄PRを」とお昼どきに25分間の番組がスタートした。両番組で沖縄のアーティストや企業をゲストに迎え、文化や伝統、音楽、観光情報などを紹介して本土と沖縄を結ぶ。
また、ことし20回目を迎えた「鳩間島音楽祭」は、父・勇さんと共に携わり、自らもホスト役で出演。その経験を生かして、近年は首都圏で催される沖縄イベントを主催者側と共同で制作することも多い。14年には東武百貨店と組んで「美ら島フェスティバル」を立ち上げ、出展業者や出演アーティストを紹介、自らもホスト役でステージに上った。
去る11月4、5日には、県系6世までが暮らす横浜市鶴見区で第2回「ウチナー祭」(同実行委主催、鶴見区共催)を開催。2日間で約5万5000人が来場し、近隣から訪れた家族連れなどがステージや飲食を楽しむ姿に、「こんなにいいイベントができたのは久々」と手応えを感じた。
イベントを次々と手掛ける姿から、最近では「イベンター?」と聞かれることも多くなった。「自分でも業種が何なのか分からない」と笑うが、華やかな祭りの裏で「運営側に利益はほとんどない」と現実も明かす。それでも続ける理由は「別の展開につながるから」と、地道でしたたかな一面も。
ことし、自身が代表を務める会社の住所を鳩間島に移した。以前から「島のためにできることが見つかったらすぐにでも帰る」と話していたが、「登記することで、何か変わるかなという思いもある。動くのは圧倒的に東京だけど、少しずつでも地元で仕事ができるようになれば」と先を見据えている。