■非道な指導で不登校へ、自殺へ
大阪府の高校で生来の茶色っぽい髪を黒く染めるよう強要された女子高生が、不登校に追いやられたとして学校を提訴した。入学時から黒く染めさせられ、「色が落ちて来た」「不十分」と4日に1度のペースで指導され、その結果洗髪剤の影響で頭皮や髪はボロボロに傷んだ。学校側は母親に「金髪の外国人留学生でも規則なので黒く染めさせる」と応えたというから驚きだ。おぞましいほどに硬直した生徒指導であり管理である。女子高生が精神的苦痛から過呼吸になり救急搬送されても「染めないなら学校に来る必要はない」と非道な対応だったようだ。学習権と人権の甚だしい侵害である。
福井県では中学2年の男子生徒が校舎から飛び降り自殺した。担任と副担任による行き過ぎた指導、叱責(しっせき)が繰り返された結果と報告書にある。叱責を目撃した生徒は「身ぶるいするほどだった」と証言している。どう喝である。「指導に対し生徒が土下座しようとしたり、過呼吸を訴えたりした」こともあったというから痛ましい。「生徒の特性に合った指導を」と同僚の声かけもあったようだが指導のあり方を改めることはなかったようだ。
■対岸の火事にしないこと
各校は以上の反教育的指導を対岸の火事とせず日常的に自校の現状を把握し取り組み、実践を検証すべきだろう。ところで八重山地区の学校ではよもや体罰は行われていないだろうがどう喝するような指導はないだろうか。どう喝された子どもは恐怖心からその場は教師に従うかもしれない。でもそれは反省でも何でもない。むしろどう喝された側がどう喝の手口を自分より弱い者に向けるかもしれない。暴力の連鎖と変わらない。だいたいどう喝は本末転倒だ。教師は子どもたちの自己肯定感を高めつつ学習効果を上げるのが本筋だろう。
石垣市の学校でも不登校やいじめの件数が一向に減少しない。さまざまなケースがあるだろうが、それぞれに有効な手だては講じられているだろうか。子どもたちに親身に寄り添い、いじめの芽を摘むべく思いやりや人権の尊さを熱く語っているだろうか。学校や教師の都合にとらわれることなく、子どもたちの学びと望ましい変容を大人の度量で見守っていただきたい。
■「大人たちに聞いてほしいこと」
つい先日NHKEテレに出ていた石垣市出身の大学生・島尻優楓さんのブログ記事「沖縄の大人たちに聞いてほしいこと」を読んだ。島尻さんは石垣島を「大好きな地元」と記しつつも「だけど、私はずっとこの島で違和感を抱きながら過ごしていました」と続ける。なぜなら「もっと子どもにちゃんと向き合ってほしいということです。知ってるのに闇を見ないふりしないでほしいです。いじめやリストカット、不登校、障害、DV…」と自ら高校の頃それらの問題に向き合った経験に基づいて私たち大人に強く訴える。また「(前略)街中で地元の問題に対しアンケートを行った際に地元の人たちは『わからない』『難しい』と答え(後略)」と、追い込まれた子どもたちに対する石垣市の大人たちの問題意識の低さを嘆く。私たち大人は謙虚にその指摘に向き合ってはどうだろうか。