■沖縄県と福建省が友好20周年
中国の福建省と友好締結20周年を迎え、沖縄県の翁長雄志知事や新里米吉県議会議長ら75人が、今月9日から4泊5日の日程で中国を訪れ、友好の絆を強めた。沖縄と中国は琉球王朝時代から交流の歴史は続いており、その長い交流の歴史が「沖縄の人は中国のスパイ」と一部の極右勢力から誹謗(ひぼう)中傷されるゆえんでもある。ただその交流は県レベルだけでなく市町村レベルでも那覇市は福州市、浦添市は泉州市、宜野湾市は厦門(あもい)市と友好親善都市を締結し交流を続けている。
尖閣諸島の領有権をめぐり中国との対立の渦中にある石垣市も、中国の都市と友好提携し、現在配備をめぐり市民の間に大きな対立と分断を引き起こしている自衛隊などの武力でなく、こうした自治体レベルでの友好交流などの外交努力で平和を目指してほしいものだ。その友好提携の素地はある。
■石垣市も過去3度訪問団
かつて石垣市は、福建省と経済交流を目指して市商工会から田場恵順会長や粟盛哲夫副会長ら10人余から約20人の視察団が過去3度も中国を訪問した経緯があるからだ。半嶺當泰市長時代の1993年と同94年、大浜長照市長時代の1996年のことだ。
石垣の物価高緩和と経済活性化のため直接貿易できないかとその可能性を探るため、3度目は大浜市長も訪問した。当時も尖閣をめぐる対立はあったが、それでも一行は歓待され、福建省では福州市が友好協力同意書を締結し石垣事務所開設の意向も語るなど積極的だった。しかしどういう商品で貿易するかが壁となり実現しなかった。
尖閣周辺を漁場とする漁民も多い福建省の福州市とは那覇市が友好都市を締結しているが、石垣市も国内や台湾だけでなく、その福州や厦門など中国とも積極的に友好関係を築きたい。
現在の中山市長は、尖閣をめぐり中国脅威論をあおる安倍政権と一緒に中国を敵対しているが、過去に経済交流の動きもあったし、こうした自治体間の交流で関係改善を図るべきだ。
■近隣諸国とは常に仲良く
交流などの外交努力は、自衛隊配備に反対する尖閣列島戦時遭難者遺族会の慶田城用武会長や公明党の大石行英市議らもその都度市長に求めている。
慶田城会長は、毎年の慰霊祭で「遺族が願うのは平和」と参列の市長に武力によらない平和外交を求めてきた。
大石市議も与党ながら今年の3月議会で、「第三の道」と称して来年8月の日中平和条約40周年、同12月の世界平和の鐘設置30周年に中国大使らを招いて石垣市でイベントを開き、こうした外交努力で平和を目指すべきだと来春の市長選を控え、市長の自衛隊受け入れの動きをけん制した。
安倍首相も先日の日中首脳会談を機に一転して中国との関係改善に意欲を示しており、市長も自治体レベルの交流を進め、敵対関係を改めるべきだ。
中国との関係が改善され、脅威や緊張が緩和されれば尖閣防衛の自衛隊配備の必要性はなくなり、戦争のリスクも緩和される。一方で中国からもクルーズ船の寄港が増え、経済も活性化するだろう。近隣諸国とは国も地方自治体も常に仲良く平和的でありたい。