ことし3月八重高を卒業し、慶應義塾大学総合政策学部で学ぶ島尻優楓(ゆか)さん(19)のブログ記事「沖縄の大人たちに言いたいこと」がゆるやかに共感の輪を広げている。県出身の人気タレント・りゅうちぇるが「僕も立ち上がらないといけない」の言葉を添えて写真共有アプリ「インスタグラム」で共有するなど、10日午後4時時点で閲覧数は5万1900PVに達した。島尻さんは「うれしい驚き」と声を弾ませながらも、「客観的に見たら『うざい』内容だと思う。自分に向けた記事でもあり、自分なりに取り組んでいく決意。助けることをシェアできる世界を目指したい」と話す。
4日に投稿された記事で、島尻さんは故郷の石垣島を「本当に癒やされる。私にとって、すごくすごく大好きな地元です」と紹介。
しかし、長年、抱いている違和感として、「スポーツや音楽、芸能はとても盛んで地域の人たちも学校も積極的だけど、それ以外のことに対して無関心であると感じます」と、いじめやリストカット、不登校、障害、DVなどの対策に疑問を投げかけている。
自身もいじめられた経験を持つ島尻さんは、地元の友人から「ただ聞いてほしい」と家庭事情や自殺願望の相談をされることが多々、あるという。一緒に授業を受けてきた仲間の声が身近にあふれているだけに地域の現状に葛藤があった。
島尻さんは2016年度に人材育成プロジェクト「Ryukyufrogs(琉球フロッグス)」に参加。その際に実施した調査結果などを基に現在、「自分なりの方法」として、いじめられてる子どもたちが気軽に相談できるサービスを共同開発中だ。
また、NHK番組「いじめをノックアウト」のLINKプロジェクトにも加わり、全国のいじめ被害者と交流、臨床心理士や弁護士など専門家から活動への助言を得ている。
くしくも投稿日の4日は、島最大行事「石垣島まつり」開催初日。島尻さんは「狙ってはいない」と笑い、ブログへの反応を「『共感した』のコメントだけで実際に行動する人はいない」と冷静に受け取る一面ものぞかせる。
「でも、もしかしたら状況が変わるかもしれない。発信しないと誰も分からない」。
「いじめ対策はきれいごとにされがちだけど、ビジネスとして誰かを幸せにするための社会を変える仕組みづくりが大切。カメラアプリみたいに、いじめ相談サービスも選べる環境が必要」と力強く言葉を続けた。