沖縄振興開発金融公庫八重山支店(山城興司支店長)の2017年度上半期融資実績が前年同期を10億3300万円(42%)上回る34億9300万円に上り、同期としては15年度(37億3100万円)に次ぐ過去2番目の額となった。八重山支店では13年3月の南ぬ島石垣空港の開港後、観光客の増加に伴い各産業で投資需要が拡大、14年度から融資実績は60億円を確保している。同支店では「建築資材の高騰や人手不足の課題はあるが、好調な観光を背景に投資マインドは向上。本年度は前年度並みを推移する」と堅調を示した。
公庫八重山支店の上半期実績は2日午前、地元産業関係者を招いて市内のホテルで開かれた「沖縄公庫・八重山経済チバリヨー懇談会」で報告された。
本年度上半期は設備資金が約21億4800万円、運転資金が約13億4400万円。
業種別では卸売り・小売業8億7800万円(前年同期比7億5800万円増)、不動産業・物品賃貸業7億2700万円(同5億4200万円増)、サービス業4億5900万円(同1億1200万円増)、農業、漁業、ダイビング、生活関連サービスなどを含むその他が10億4100万円(同5億7100万円増)となっている。
一方、大規模開発の建設資金に融資する産業開発資金について公庫本店が取り扱った八重山地区の融資額が15年度146億円、16年度25億円に上ったことも報告された。
公庫八重山支店の山城支店長は「支店扱いとは別に本店で扱う大口融資は好調な観光を背景とした投資需要に支えられている」と振り返った。
懇談会参加者は人手不足による人材確保と事業縮小を懸念する声や2020年の東京五輪開催後の経済動向について質問があり、沖縄公庫の川上好久理事長は「人手不足解消には地域特区によって外国人労働力を確保する要望はあるが、行政との関係性が必要。観光が県全体の成長エンジンとなり、アジア経済の伸びで旅行需要はある。2020年以降は経済状況が後退することはない」と予測した。