沖縄振興開発金融公庫八重山支店(山城興司支店長)は25日、今月7日に西表製糖工場敷地内で着工した「さとうきび集中脱葉施設」の建設資金として施設所有者の㈱竹富町物産観光振興公社(上勢頭保代表取締役)に4億4900万円を融資したことを発表した。公社は設備投資を受けて施設を整備し、町に20年間で一括賃貸することで、町の負担軽減を図る。施設転貸と管理受託、施設管理に1企業1団体を網羅した事業スキームを組み、民間企業と連携した資金活用で公共サービスを提供する「PPP(Public Private Partnership)」の活用は八重山でも数少ない事例となる。
事業スキームは公社が公庫から設備資金の融資を受けて施設を建設。年間2300万円で町に施設を賃貸、西表島さとうきび生産組合(石原和義組合長)が施設転貸・管理委託を担い、西表糖業㈱(上原直彦代表取締役社長)が施設管理する。
公庫は公社の収益基盤強化の取り組みと施設稼働による農家の収穫作業の省力化、人件費の軽減、安定した収量確保などによる黒糖生産の拡大を評価して融資を実行。八重山では活用事例が少ないPPPを利用することで、官民連携の効率的な資金確保と事業体制の構築を支援する。
同日午後、同支店で記者発表した山城支店長は「八重山の産業振興に貢献するため、PPPの活用は多様な資金提供に応えられる。今回の取り組みで拡大に期待している」と話した。
施設は一部2階建ての鉄骨造平屋造りで、延べ床面積は645平方㍍。製糖工場へ原料搬入前に脱葉と不純物除去を行い、農家の手刈り作業の負担軽減を図る。処理能力は1日100㌧。総事業費は4億6000万円。残る1100万円は公社資金。来年2月の稼働予定。
上勢頭会長は「竹富町の基幹産業のサトウキビ生産は農家の高齢化が進んでいる。施設整備は地域振興に不可欠で、PPPを活用して地域産業を活性化させたい」と展望。
西大舛髙旬竹富町長は「行政予算は潤沢にないが、民間活力を使った施設整備は町の負担軽減につながる。PPPを活用して小浜や波照間にも施設整備を視野に入れている」と喜んだ。